2013年09月24日
2013年9月19日
日本医療労働組合連合会
中央執行委員長 山田 真巳子
社会保障制度改革推進法により国民会議などで具体化されつつある「制度改革」は、社会保障の権利性を否定し、「経済の下に社会保障を従わせる」ものです。人類が勝ち取った社会保障の理念と、日本の社会保障制度を否定することを私たちは断じて認めるわけにはいきません。過日公表された「国民会議報告書」は、従来の改悪計画の総仕上げであり、社会保障の充実を願うすべての人々に対する挑戦状と言わざるを得ません。
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「報告書」は、社会保障制度を「自助を基本」とし、「自助・共助・公助の最適な組み合わせ」とするとしました。さらに、「社会保険は負担の見返りに給付を受ける」制度だとし、民間保険と同様の保険原理を強調しています。このことは、社会保障における国の責任を放棄するものです。また、「報告書」は、「給付は高齢世代中心で、負担は現役世代中心という構造の見直しが必要」だと述べ、世代間対立を煽り、高齢者世代の負担増・給付削減を合理化しています。
さらに重大なことは、社会保障と経済や財政は「一体的に検討することが必要」として、社会保障費の抑制、税・社会保険料の負担増や給付の重点化・効率化などを合理化していることです。財源問題では、莫大な利益をため込んでいる一部の大企業の内部留保と高額所得者などの不公正税制こそ改善すべきです。軍事費や不要不急の公共事業など無駄使いを改めずに、逆進性の高い消費税増税を財源確保の中心とし、国民のいのちと暮らしに関わる社会保障の抑制を進めることは言語道断です。
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「報告書」は、社会保障4分野(医療・介護・年金・子育て)について、さまざまな改悪プランを盛りこんでいます。70?74歳の患者負担2割、入院時給食負担の引き上げ、「フリーアクセス」の定義の変質と制限、開業医の緩やかな「ゲートキーパー」化、病床の機能分化と法人合併などによる中小病院の淘汰・再編成、国保保険者の都道府県移行、後期高齢者医療制度の存続、「地域完結型医療」、要支援1・2の介護保険外し、「一定以上の所得のある利用者」の負担引き上げ、施設入所の低所得者への補足給付見直し、特養からの軽度者締め出し、デイサービス削減、「高所得者」の年金外し、保育「新システム」の推進など、かつてない効率化と医療・介護の提供体制再編を具体化し、秋の臨時国会に「プログラム法案」として採択する予定で、極めて緊迫した事態です。
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私たちいのちまもる労働者は、国民のいのちと暮らしをまもる一点で、医療関係団体や国民との幅広い共同をすすめます。私たち日本医労連は、国民会議報告書の具体化を許さず、消費税増税と「推進法」廃止を求め、権利としての医療・社会保障実現にむけて全力をあげることを表明します。
以上