2013年12月16日
診療報酬の大幅引き上げを求める ⇒こちら
2013年12月12日 日本医療労働組合連合会
政府の財政制度審議会は、11月29日、来春の診療報酬改定について「本体マイナス改定」を求める来年度予算に関する建議を麻生財務相に提出した。社保審で策定する基本方針と予算編成で決まる改定率を踏まえ、中医協で点数配分を決める改定の流れからすると、財政審がマイナス改定を提言したことは決して看過できない。 本来、診療報酬は患者・国民の受ける医療の量や質を保障すべきものである。しかし、構造改革路線の下で2002年から4回連続マイナス改定が強行された。医療崩壊が社会問題となり、2010年・2012年は若干のプラス改定となったが、その改定幅は医療の危機的状況を抜本的に改善するにはあまりに不十分で、大幅な引き上げが求められる。 財政審建議は、診療報酬が引き下げられても、高齢化による患者増で医療機関の収入は確保できるとしている。しかし、今でも医療職場は人員不足で、職員は長時間・過密労働で疲弊している。高齢化による医療需要に対応するためにも人員確保は必須で、そのために人員基準を引き上げ、財源を投入することが必要である。また、建議は、医療費の増加は保険料と患者負担になるとし、麻生財務相も企業・家計に所得減をもたらすと、医療費増加を国民負担増に結びつけ論じている。しかし、患者負担増につながる制度に改悪したのは歴代政府である。今回の建議も、70?74歳の患者窓口負担増など、社会保障改悪プログラムの実施を盛り込んでおり、自らの悪政を棚上げし、患者・国民と医療従事者を分断する安倍政権の議論を許すことはできない。 高齢化が進むからこそ、いつでも、どこでも、お金の心配なく、安心して、良い医療を受けられるように医療・看護を改善していくことが、多くの患者・国民と私たち医療労働者の願いである。医療・社会保障への財源投入は、雇用創出の面でも波及効果の面でも、極めて高い経済性を発揮する。雇用改善・賃上げと合わせ、広がる貧困格差を是正し、日本経済を立て直すためにも、税と社会保障の再配分機能を強化し、患者窓口負担をなくすことが必要である。 私たち日本医療労働組合連合会は、財政審が求めた「本体マイナス改定」について、現場実態をまったく無視したものとして、強い憤りをもって抗議する。同時に、医師・看護師等の大幅増員による安全・安心の医療保障、働き続けられる勤務環境整備のために診療報酬の大幅引き上げを求めるものである。
以上