見解・方針等

【方針】2014年春闘の賃金関係の統一要求額

2014年01月23日

2014年春闘の賃金関係の統一要求額

    2014年1月21日?22日
  日本医労連第45回中央委員会

1.大幅賃上げ要求額 

正職員等(月額) 4万円以上

根拠 定期昇給相当分(2%) 5,000円
   過年度の負担増の補てん※1 10,000円
   今後の負担増分※2 15,000円
   他産業との賃金格差分 10,000円
   合   計 40,000円

 ※1)物価上昇 2013年10月 消費者物価指数(総合)前年同月比プラス1.1%
   実質可処分所得(可処分所得?物価上昇分)の減少(大和総研) 
   年少扶養控除廃止、子ども手当縮減、社会保険料増等
   2011年→2013年 年収500万円世帯(子供2人)年額14.45万円(月額1万2,000円) 
 ※2)消費税増税と円安物価高による負担増
   静岡大・土居名誉教授試算 
   平均家計(消費税8%時) 年額18.8万円(月額約1万5,700円)


パート等(誰でも・時間給)200円以上


2. ポイント賃金の要求額
初任給 35歳 50歳
看護師 220,000円以上 350,000円以上 450,000円以上
介護福祉士 200,000円以上 340,000円以上 440,000円以上
事務職 180,000円以上 330,000円以上 430,000円以上
注)初任給は看護師21歳、介護福祉士20歳、高卒者18歳で設定。35歳・50歳は初任給年齢から働き続けた場合の額


3.企業内最低賃金協定の要求額
月 額 日 額 時間額
看護師 220,000円以上 10,000円以上 1,400円以上
誰でも 180,000円以上 8,200円以上 1,200円以上
 注)ヘルパーの要求額は、「誰でも」と同額であるので、「誰でも」に一本化。

14年春闘における産別統一賃金闘争の意義と要求の根拠


はじめに 

 安倍政権は、「世界で一番企業が働きやすい国をめざす」とし、「大企業奉仕の政治」を推し進めていますが、「大企業が富めばしたたり落ちて民も潤う」という「トリクルダウン」論の破たんは明らかです。過去15年間(97年から12年)に、大企業はリストラ・賃下げや法人税減税等で利潤を拡大し、内部留保を130兆円も積み増している一方で、労働者の賃金は1997年ピークに減り続け、97年467万から12年408万円と59万円も減少しています(国税庁・民間給与実態調査)。
 経済悪化の最大の要因は、賃金が下がり家計所得が減少して内需が冷え込んでいることにあり、不況脱却に賃上げが必要であることは、政府や財界も否定できなくなっています。安倍首相は経済団体に「賃上げ」を要請し、経団連は、2014年春闘で「業績の良い企業に賃上げを呼びかける」などとしています。
 国際労働機関(ILO)は、「賃下げ競争が労働分配率の『底辺への競争』をもたらし、総需要を押し下げる」(世界賃金報告2012/13年版)と警告を発していますが、海外では労働組合を先頭に社会的な反撃がひろがっており、賃金が下がり続けているのは日本だけです。
 大幅賃上げと国民所得の改善が、景気回復の有効かつ唯一の手段であり、賃上げは国民的な課題であることに確信をもって14春闘をたたかいましょう。

(1)要求のトップは賃金改善。ますます苦しくなる組合員のくらし

 日本医労連「2014年春闘・働くみんなの要求アンケート」中間集計結果(1月8日時点、15,070人集約)によると、年間収入が「減った」という回答が44.1%(昨年44.1%)を占め、生活実感でも「苦しい」が61.0%(昨年60.9%)にのぼります。職場の不満のトップは、「賃金が安い」で、正職員は47.0%(昨年49.1%)、正職員以外で40.0%(昨年42.9%)となっています。正規・非正規を問わず、大幅賃上げは組合員と職員の最も切実な要求となっています。
 生活実感からの不足額は「5万円」がもっとも多く29.9%、「3万円」が25.2%、「2万円」が10.9%等となっています。賃金不足額の平均は3万8,387円に上っています。2014年春闘での賃上げ要求額の平均は、月給の人で2万5,226円、時間給の人で153円となっています。

(2)円安物価高や庶民大増税による大幅負担増から生活を守る

 労働者・国民への負担増は、医療保険料引き上げ(12年4月)、住民税年少扶養控除廃止(12年6月)、厚生年金保険料引き上げ(12年10月)とすでに始まっています。また、「異次元の金融緩和」による円安、輸入物価上昇の影響を受け消費者物価が上昇しています(13年10月消費者物価指数(総合)は前年同月比プラス1.1%)。大和総研の試算によれば、年収500万円世帯(子供2人)で、2011年から2013年までの実質可処分所得は年額14.45万円(月額1万2,000円)も減少しています。
 さらに、今後、消費税増税(14年4月8%、15年10月10%)と円安・物価高による負担増が加わります。復興増税も復興特別法人税は1年前倒して14年3月で廃止するのに対して、復興特別所得税(13年1月?)は25年、復興臨時住民税(14年6月?)は10年間も継続されます。
 静岡大学土居名誉教授による試算によれば、消費税(8%)と円安物価高による負担増は、平均家計で年額18.8万円(月額1万5,700円)にものぼります。
 消費税増税をストップさせるとともに、すでに強行されている負担増と今後ねらわれている負担増から生活を守るために、大幅賃上げが必要です。

(3)他産業と比較しても低い医療・介護・福祉労働者の賃金  

 厚生労働省の「2012年賃金構造基本統計調査」(賃金センサス)によると、医療業の所定内賃金(309,900円)は、他産業の所定内賃金(297,700円)よりも12,200円高くなっていますが、医師を除く医療業の所定内賃金(288,354円)は、依然として9,346円も低い実態にあります。社会保険・社会福祉・介護事業の所定内賃金(230,800円)は、さらに低く他産業と比べ△66,900円という大きな格差があります。賃金下落の要因として、非正規労働者の増大とともに、「雇用増にある医療・福祉、生活関連サービス等が全業種平均より賃金水準が低く、全体の水準を引き下げている」(みずほリサーチ)と指摘されています。
 政府は賃上げの必要性をいう一方で、7.8%もの公務員賃金の大幅削減を強行してきました。特例法による賃下げは、14年3月で終了するとしていますが、人事院は「給与制度の総合的見直し」として、地方の公務員の賃下げや中高年層の賃金抑制などを打ち出しています。公務員賃金は、医療・福祉職場の賃金に大きな影響を及ぼすとともに、最低賃金とともに社会的な所得決定の基準ともなっています。官民一体で不当な賃下げを許さず、大幅賃上げを勝ち取るたたかいを強めましょう。

(4)非正規労働者の処遇改善、生活と医療を守る賃金の底上げ

 非正規労働者は36.3%に増加し、年収200万円以下の労働者が1000万人を超えています。「2013年度日本医労連賃金労働時間等実態調査」によるパート時給の最低は、看護師850円、介護福祉士700円、給食部門685円等となっており、最低賃金ラインで医療・介護を支えている仲間が多数います。14年春闘要求アンケートにおける非正規職員の不満は、「賃金が安い」40.0%(昨年42.9%)、「正社員との賃金・労働条件の格差」34.7%(昨年35.8%)、「雇用契約が更新されないのではないか」16.4%(昨年17.8%)等となっています。
 全労連は、最低賃金「全国一律1,000円以上」の要求とあわせて、加盟組織で取り組んだ「最低生計費試算調査」をもとに、だれでもどこでも、最低限保障されるべき最低生計費の水準として、単身世帯で年額280万、月額23万円 (時間額約1,500円)、世帯形成期以降の男女 年額420万円 月額35万円(時間額約2,300円)を提起しています。
 賃金は、「人間らしい生活ができる生活費」、「同一労働同一賃金」が基本であり、最低賃金協定の取り組みを強め、賃金の底上げがなんとしても必要です。

(5)賃上げで経営の健全な発展、安全・安心の医療介護の実現を

 医療法人の経営状況は、昨年に比べて医業収益の伸び率は減少していますが、規模や性格による違いがあるものの全体として黒字基調となっています。介護事業についても、国費であった処遇改善交付金が報酬に組み込まれた影響があるものの黒字を維持しています。一方、医療福祉労働者の賃金は、この間定期昇給程度に抑えられ、医療分野の労働分配率は病院経営の改善に比べて低下し、全体では約△2ポイント(09年から12年)も下がっています。
 また、政府の財政制度審議会は、医療経済実態調査のわずかなプラスをとらえて、「医療機関は増収・増益で、医師(+2.8%)や看護師(+0.8%)の賃金も増加している」等として、診療報酬のマイナス改定を求めています。しかし、医療職場は、現在も深刻な人員不足で長時間・過密労働で疲弊しています。医療崩壊をくいとめ、国民医療を改善するためには、社会保障改悪を撤回し、国が財政を投入して人員配置を引き上げることが必要です。
 医療機関や介護事業において、人件費抑制によって乗り切ろうとする経営自体が、診療報酬・介護報酬抑制につながり、安上がりな医療・福祉体制の大きな原因となっています。今こそ、大幅賃上げで、正当な人件費を報酬に反映させる共同の取り組みが必要です。
 個別の病院・施設内の賃金闘争にとどまり、賃上げを自粛していては、安上がりの医療・介護の拡大、医療経営を取り巻く環境のさらなる悪化をもたらし、政府のすすめる医療・社会保障の切り下げに対するたたかう力を弱めることにもなります。
 産別統一賃金闘争に結集し、労働組合として、医療・介護を守るためにも賃金・労働条件の改善は譲れない要求である姿勢を示し、国の政策変更・制度改善を迫る取り組みの強化を経営者にも求めていくことが必要です。

(6)職場を基礎に産別統一賃金闘争の強化で社会的役割にふさわしい賃金の実現を

 厚生労働省「2012年賃金構造基本統計調査」で、専門職である高校教員と所定内賃金を比較すると、同年齢(35歳?39歳)比較で、高校教員384,300円に対して、看護師は297,100円で△87,200円、介護職は207,000円で△177,300円も低くなっています。医療・介護労働者の賃金は、女性差別賃金体系を残し、専門職としては非常に低い賃金となっており、安上がりの医療・介護を下支えする結果となっています。日本看護協会の「2012年病院勤務の看護職の賃金に関する調査」では、離職を考えている看護職のうち「賃金に不満がある」が69.8%に達しています。安全・安心の医療を実現するには、人手を確保し、やりがいをもって働き続けられる賃金労働条件を整備することが不可欠であり、賃金要求は譲れない要求です。
 医療・介護労働者の多くは、国家資格を持ち、全国一律の報酬制度を基盤としていますが、賃金は地域間格差や設置主体別の格差が大きく、「2013年度日本医労連賃金労働時間等実態調査」で、看護師初任給をみると最高24万円強・最低15万円と9万円もの差があり、さらに50歳では最高47万円強・最低22万円強と倍以上の格差になります。
 産別の統一賃金闘争は、個別経営の賃金決定にとどまらず、全国の医療・介護職場の賃金水準を決定する役割をもっています。個別経営での賃金交渉の限界をのりこえ、産別統一闘争で地域水準、全国水準を引き上げ、相場を形成して前進を図ることが、各単組での要求前進のためにも重要です。また、地域や設置主体による格差を解消し、専門職にふさわしい賃金・労働条件を実現するには、国の政策を変えさせ、制度や診療報酬・介護報酬を改善させていくことが必要です。
 産別統一賃金闘争の強化で、全国どこでも医療と福祉を守る社会的役割にふさわしい賃金の実現をめざして、意気高く14春闘をたたかっていきましょう。
以 上

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