2015年01月14日
介護報酬のマイナス改定に強く抗議する
昨年10月、財務省は介護報酬のマイナス6%の改定を提案し、12月には厚生労働省も引き下げ方向で検討していることが報道された。社会保障充実を理由に消費税8%増税を強行したにもかかわらず、介護報酬を大幅に引き下げることは介護の充実に逆行することにもつながり、到底許されるものではない。
マイナス改定の動きに対して、日本医労連は「介護報酬のマイナス改定に断固反対」する緊急の団体署名に取り組み、1月8日、厚生労働省に提出した。同時に、社会保障審議会介護給付費分科会の全ての委員にも送付し、介護報酬引き下げ反対を訴えた。緊急団体署名は、年末年始を挟んだ短期間に、労働組合だけではなく多数の事業所を含む約500団体から寄せられた。こうした反響は、「介護報酬のマイナス改定」が現場の介護職員や事業所の経営に及ぼす影響の大きさを端的に物語っている。和歌山県や徳島県では、引き下げ反対の決議が採択された。また、全国老人保健施設協会などの介護関係団体も政府の方針に対して断固反対を表明するなど、介護業界全体を上げた「介護報酬引き下げ反対」の動きが強まっている。
介護職員の賃金は、全産業の平均賃金よりも約10万円も低く(2013年度賃金センサス)、平成25年度介護労働実態調査(介護労働安定センター)でも介護職員の人材不足が顕著になっている。地方の事業所では、介護職員の募集にも応募がなく、派遣でも確保できないという深刻な状況となっている。
厚生労働省は、2025年に向けて100万人の介護職員を確保する必要があるとしているが、そのためにも介護従事者の処遇改善は欠かすことのできない重要な課題である。2025年に向け、住民が安心して地域で暮らせる「地域包括ケアシステム」を整備し、安全・安心の介護提供体制を構築するためには、次期改定で介護従事者の処遇改善を実現する介護報酬の「引き上げ」こそ必要である。
日本医労連は、あらためて介護報酬のマイナス改定に断固反対する立場を表明し、引き上げを強く求める。
2015年1月9日
日本医療労働組合連合会 中央執行委員長 中野千香子