2015年02月09日
特定行為研修に関する省令案に反対します。国民のいのちに重大にかかわる今回の問題について、推進派だけではない現場の医療従事者や、患者・国民の意見を広く聞くべきであり、そのことを強く要求します。
そもそも特定行為とされた38項目は、これまで医師・歯科医師にのみ許されてきた絶対的医行為であり、看護業務実態調査結果においても日常的に実施していない行為を盛り込んでいます。例えば、看護師による動脈ライン確保は0.7?2.0%、腹腔ドレーン抜去は2.6?4.3%の実態にも関わらず、看護師による診療の補助行為として認められるのでしょうか。
審議会論議では、これまで3年以上かけて議論し、試行事業等で実績も積んできた行為であり挿管含めて特定行為として進めるべきだという意見が多くみられましたが、これらの行為はアメリカにおいても基本的には医師またはその分野の専門職が担っており、看護師の業務にはなっていません。(参考NURSE SENKA 2014 VOL.34 NO.5)
また厚生労働省は、日本医労連の要請に対し「特定行為実施を強要するものではない」と回答する一方で、安全の責任は「命令した医師、施設、実行者である看護師」としてきました。しかし、安全上の問題は省令案のどこにもふれていません。「医療行為はどの行為も危険を伴う」というような一般論でくくれるような「特定行為」の内容ではなく、国民的な議論を行うべき医療全体の問題です。
さらに厚労省は、「特定行為は診療の補助行為」であり、研修を受けなくとも「医師の具体的指示」があれば法的には可能としています。研修制度の省令とはいえ、その問題に触れないのはごまかしとしか言いようがありません。拙速な省令に反対します。
日本医療労働組合連合会
中央執行委員長 中野 千香子
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