シンポジウム「安心、安全の医療・看護の提供」
職場の民主主義と増員必要
 6月19日、医療研究全国集会は最終日を迎え、シンポジウム「安心、安全の医療・看護の提供のために〜医療事故の教訓は生かされているのか〜」が開かれました。
 シンポジウムは、日本医労連の西川書記長を進行役に、豊田郁子さん(医療事故被害者家族)、宮武真知子さん(大津日赤看護師長、リスクマネージャー)、安井はるみさん(神奈川県看護協会・医療安全対策課長)、池永満さん(弁護士、患者の権利オンブズマン理事長)の四氏をパネラーに行われました。最初に、西川書記長がシンポジウムの趣旨説明をし、各シンポジストの発言に入りました。

被害者の立場から

 豊田氏は、「被害にあった家族の立場とセーフティマネージャーとして」をテーマに、2003年に亡くされた5歳の息子さんに起きた医療過誤の問題点について、(1)チーム医療、(2)医師のモラル、(3)専門医制度の基準と認定方法、(4)内部告発、(5)救急医療、の五点にまとめ、医療者と患者が歩み寄り、双方によりよい医療が実現されることを模索したいと話されました。
 宮武氏は、「現場の実情と事故防止対策」をテーマに、結成60年をむかえる全日赤大津の夜勤制限、看護師増員闘争について、また、はたらくものの瞳を曇らせない日刊『ひとみ』の9700号を超える発行の取り組み、医療安全推進委員会の設置と医療事故防止報告書による、よい医療・看護の実践活動、過半数を超える組合員拡大の活動などについて発言されました。
 安井氏は、「看護職能団体として医療事故防止」をテーマに、予防と紛争防止、看護職員の労働安全対策、医療事故にかかわった看護職への支援、社会へのアピール、の4点を基本的な考え方として提起され、事故当事者への相談・支援、事故防止技術・用具の開発などの具体的な取り組みについて述べられました。

調査委員として

 池永氏は、「医療事故防止の現状と対策、教訓は生かされているか」をテーマに、医療事故調査委員会の外部調査委員として関わられた事例を紹介しながら、(1)医療事故調査委員会の展望と課題、(2)事故調査における基本的留意点、(3)医療機関や医療従事者における法律的責任(過失)の有無や損害賠償責任の程度等について具体的に話されました。
 発言を受けて、シンポジストの意見交換の後、フロアーからの質問、討論。参加者からは、「具体的な話が聞けて勉強になった。これからの仕事に役立てたい」などの声が聞かれました。