受審を理由とした成果主義賃金導入に根拠なし
医労連 医療機能評価機構へ申し入れ

機構側「評価の中立性、労使関係不介入は不変」

病院機能評価の受審を理由にして、院内システム・設備ばかりでなく、成果主義賃金の導入や労働条件の変更を、経営者が有無を言わさず押し付ける動きが広がっています。しかし、賃金・労働条件の変更には労使合意が必要であり、こうした動きは許されないものです。

賃金労働条件の変更には労使合意が必要 

 病院機能評価をおこなっているのは、財団法人・日本医療機能評価機構です。
  同機構は、厚生労働省の呼びかけに応じて、日本医師会や病院関係団体等が集い設立された公的な機関です。そのため、個々の医療機関の賃金制度や労働条件に介入する権限は一切ありません。ただし、法令順守は別問題であり、機能評価の項目にも、労働基準法等の関係法規の遵守が審査の項目になっています。
 同機構も、日本医労連の申し入れに対して、「評価の中立性、労使関係不介入は不変」「職能給・成果主義賃金の導入は認定の基準ではない。受審を理由にして賃金制度や労働条件の変更を提案するのに、機構は関知するものではない」と回答している通りです。
 したがって、受審を理由とした成果主義賃金導入などの動きには、何の根拠もありません。「理由にならない」「労使合意のない労働条件の一方的変更は許されない」と、毅然と反撃することが大切です。

評価項目の学習など労組の取り組み強化を

しかし、各病院に審査に来る評価者(サーベイヤー)は、病院長か事務長、看護部長を5年以上経験した人か、それに準じる学識経験者となっています。そのため、経営的な視点が強く、問題となる言動が各地で繰り返されているのが実態です。また、同機構が最近出版した解説集などに、人事考課の賞与等への反映を求めるかのような記述があることが明らかになっています。日本医労連は申し入れをおこない、問題の記述の削除やサーベイヤーの教育などを求めています。
  同機構は、自らを「医療機関の機能を学術的観点から中立的な立場で評価し、その結果明らかになった問題点の改善を支援する第三者機関」と説明しています。したがって、現在、各病院で受審を理由に強権的に様々な変更が押し付けられているのは本末転倒と言わざるを得ません。
  評価項目の中には、円滑な労使関係や法令順守、医療安全など活用できる項目も多数あります。経営者の言うがままにさせないため、評価項目の学習など、労働組合としてのとりくみ強化が求められています。