大会宣言
 日本医労連は、第55回定期大会を7月21日から23日までの3日間、静岡県熱海市で開催し、代議員、傍聴者、役員など320名の参加で活発な討論を行った。
 JR西日本の大事故やアスベスト被害が次々明らかになるなど、「安全」が大きな社会問題となっている。
 医療・福祉においても医療事故の続出など「安全・安心の医療・福祉」が、患者・国民と医療・福祉労働者の切実な要求・課題となっている。
  また、米軍によるイラク占領と自衛隊派遣が続く下で、ロンドンでは同時テロが発生し、憲法改悪の動きも重大化するなど、平和と民主主義を守る課題はますます重要となっている。
 今大会は、この様な緊迫する情勢の下で開催された。

 この間私たちは、小泉「構造改革」による厚生年金病院や社会保険病院などの売却・廃止反対をはじめ、国公立、公的病院、地域医療を守る運動に全力をあげて取り組んできた。また、看護師や医師不足の下で、医療・福祉労働者の長時間・過密労働を改善するため「退勤時間調査」や「看護職員需給見通し」の取り組みなど医療・福祉労働者の生活と権利を守るため、この一年全力でたたかってきた。
 賃金闘争では、「賃下げ」「定昇ストップ」に歯止めをかけ、職能給、成果主義賃金も多くの組織で導入を許さず、05春闘では13年ぶりに前年実績を上回るなど、「ベアなし春闘」の流れをかえるたたかいを展開してきた。
 組織拡大では、組合結成や産別加盟が23組合と近年では最高となり、組合員数も16万8千余名と5年ぶりに増勢に転じた。

 政府・財界がねらう2006年医療大改悪は、さらに国民のいのちと健康を危うくするものであり、断じて許されない。すべての医療関係者、多くの労働者・国民との共同で改悪を許さないたたかいを大きく展開する。
 自治体、厚生年金・社会保険病院、労災病院など国公立・公的医療機関の病院つぶしには、地域での共同を広げ総反撃に立ち上がる。
 医療職場は、過酷な労働実態のため看護師の退職者が続出するなど、非常事態となっている。看護師はじめ医療労働者の増員と労働条件改善は、「安全・安心の医療」確立のためにも、医療労働者のいのちと健康を守るためにも緊急に取り組まなければならない。この課題を1年間の最重点課題として、多くの患者・国民とともに大運動を展開する。
 また、消費税の引き上げやサラリーマン増税などがねらわれており、医療・福祉労働者の生活を守る課題も以前にも増して重要となっている。人事院勧告をテコにした国家的賃金破壊、賃下げ、成果主義賃金などの攻撃に対し、春闘再構築、すべての仲間の賃金引上げ、産別最賃制度化めざし、組合員一人一人の力を結集してたたかい抜く。
 すべての医療・福祉労働者の生活と権利を守るたたかいを大きく展開し、組織拡大・強化で17万組織の早期実現、医療産別運動のさらなる発展をめざす。
  憲法改悪の策動は、国民投票法案や教育基本法の改悪などを含め重大な局面を迎えている。全国2,500ヵ所以上に結成された「九条の会」などとともに憲法を守り、イラクからの自衛隊の即時撤退を求め、平和と民主主義を守るために広範な労働者・国民とたたかう。

 今大会で報告された仲間のたたかいの成果と教訓を生かし、産別に固く結集して、決定された運動方針を全力で実践する。医療・福祉に働く多くの仲間にたたかいを呼びかけ、安全安心の医療・看護・福祉実現、公的病院の存続拡充、社会保障の充実をめざす運動を全国で展開することを決意する。
 医療産別結成50周年に向け、今こそ、発足以来の基本路線である「患者のいのちと健康を守ることと、医療労働者の生活と権利を守ることを一体の運動」として全力で奮闘する。
 以上 宣言する。

2005年 7月 23日
日本医療労働組合連合会 第55回定期大会