「適切な睡眠」が大切
 (財)労働科学研究所の佐々木司グループ長は、長時間・過密労働や24時間労働などの広がりで、「労働時間内での疲労回復が困難になっている」「疲労回復の最後の砦は睡眠」として、適切な睡眠をとることの重要性を力説しています。
 生体リズムに反した形では十分睡眠がとれない事が様々な研究で実証され、例えば夜7時前後は人が眠り難い睡眠禁止帯と呼ばれ、看護師が深夜勤務に備えて仮眠しようとしても、この時間帯はまともに眠れないため、睡眠不足のまま業務に就くことになるといいます。また就寝直前までの仕事は睡眠を浅くし、睡眠前のストレスが、深い眠りを妨げることも明らかです。

人材派遣会社 サービス残業30億支払い
 人材派遣会社最大手「スタッフサービス」が、サービス残業をさせた全国の社員と退職者計約4千人に対し、過去2年間に遡り総額約30億円の未払い残業代を支払い始めました。
 大阪労働局は、同社が組織的にサービス残業をさせた疑いが強いとして、割増賃金不払いなどの労基法違反の疑いで家宅捜索。近く法人と幹部を書類送検するとしています。同社では就業規則で定められた1日の労働時間を大幅に超える、実質13時間超の労働時間となり、土・日出勤も恒常化、全国的に長時間・サービス残業が行なわれていたと関係者は伝えています。大阪本社は既に過去2年分の未払い残業代として約3億円を支給しています。
(共同通信ニュースより)

介護保険法改悪に対する闘争強化を−全労連
 全労連は2月8日、政府が国会に提出した介護保健法改正案について「到底容認できない」とする談話を発表。
 談話では第1に国民の切実な改善要求に応えず、露骨な給付抑制や負担増押しつけの改悪法案であり、到底容認できないと厳しく批判しました。
 第2に法案の「最大20%給付抑制」により、要介護者の生活支援に不可欠な家事援助サービスが全面的に抑制。筋力トレーニング等への偏重は、予防効果どころか要介護状態の重度化で、逆に施設入所が増大するとの懸念を表明しています。
 また相部屋でも3万円強の負担増となる施設入所者の居住費・食費の自己負担の問題や、介護労働者の労働条件問題に何等改善策がなく、低介護報酬化が懸念されるとして、「アンケート調査」を示し、劣悪な労働条件と不安定な雇用の改善が急務であるとしています。
 第3に、国会審議にむけ「安心して利用できる介護保険制度」「介護労働者の身分・労働条件の改善」を求め、「社会保障全般の一体的見直し」にむけた闘争強化を呼びかけています。

過重労働の健康被害 東京労働局が調査
 東京労働局が行なったアンケート調査で、過重労働による脳疾患や心臓疾患などの健康被害を懸念する都内の企業が38.6%に上り、精神疾患発症の懸念も33.8%あることが判明しました。
 同局は今後「過重労働による健康障害防止のための総合対策」(02年厚労省)に沿った措置の徹底や、メンタルヘルス対策を推進する考えです。
 1ヶ月の時間外労働が100時間超など、今後の可能性を含めた長時間労働の発生が57.9%ある一方、従業員の健康保持に、メンタルヘルス対策の充実をあげる企業も37.4%、労働時間・労働密度など心身の過重負荷要因の改善が27・8%と、取り組みは増加傾向にあるとしています。

レセプト 原則開示へ
 社会保険庁は、中小企業の従業員や家族ら約3600万人が加入する政府管掌健康保険(政管健保)の診療報酬明細書(レセプト)について、原則開示する方針を決めました。あいまいな理由で主治医らが開示に反対できないよう、来春にも手続きを見直します。

中医協解体の答申原案
 朝日新聞は、規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)が、小泉首相に年末に提出する答申原案を5日明らかにした。診療報酬や薬価を決める中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)の厚労省からの切り離しや、抜本的な組織見直しをする「解体的再設置」を検討し、今年度内に結論を出すべきだと指摘。保険診療と保険外診療を併用する混合診療の今年度内解禁も盛り込んでいる。

“抑うつ症状” 小・中学生で拡大
 うつ病につながるリスクがある「抑うつ症状」が小学生の約8%、中学生の約23%。11月1日、北海道大大学院の伝田健三・助教授(児童精神医学)らの調査で分かった。
 「何をしても楽しくない」といった気分の落ち込みや、「泣きたい気がする」「独りぼっち」などの悲哀感が強かった。約3千3百人のデータを分析した。
 「生きていても仕方がない」と自殺志向を持つ子供も13.8%あり、思春期の心のケアへの対策が求められている。
 男女とも「やろうと思ったことがうまくできない」との回答が最も多く、男子は「とても退屈」、女子は「何をしても楽しくない」が続いた。

不払い残業摘発・反撃に出た経営側
 11月は厚労省の「賃金不払残業キャンペーン月間」です。03年度の是正額は239億円、是正企業数1184社、対象労働者数が約19万5千人程です。
 不払い残業是正の行政指導強化の中、改善事例はまだ一部ですが、各労働組合は、今秋以降「不払い残業撲滅」を重点に取り組む方向です。
 残業時間を含め、実労働時間の短縮では、パートなど短時間勤務労働者が増える一方、正社員の長時間労働に拍車がかかる「二極化」現象が進み、正社員の働き方にどうメスを入れるかが焦点です。
 時短促進法の期限が切れる、06年3月末以降の方向を議論中の、労働政策審議会では、使用者側は「もう時短は不要」と主張、これに対し労働側は「時短政策の継続」を求めています。経営側は、「一律的な残業規制は間違い」という姿勢で、特にホワイトカラー労働者への時間規制は、問題だと強調します。
 内閣府の規制改革・民間開放推進会議の「雇用・労働ワーキンググループ」は、厚生労働省へのヒアリングの中で、「労働時間管理の徹底を求めた、四・六通達による労働時間規制には相当無理があり、これを続けていくことは問題」と述べています。労働時間管理の適正化・不払い是正を進めている行政に不満を表明しているのです。
 そして結論は「ホワイトカラーを対象とした、適用除外の範囲拡大の早急な検討が必要」というもの。つまり、規制を外してホワイトカラーに残業代を払わなくてもいいようにしたい、と言っているわけです。「長短二極化」で問題になっている正社員ホワイトカラーを、残業代なしの超長時間労働に追い込むことになりかねません。

サービス残業是正 03年は239億円
 2003年度に、残業や時間外労働への割り増し賃金を支給せず、全国の労働基準監督署から是正指導を受け、100万円以上支払った企業は1184社と、01年と02年の合計を上回りました。指導を受けて企業が支払った金額も19万5千人分、238億円と膨大なものになっています。しかし、是正されたサービス残業はまだまだ氷山の一角。
 厚生労働省は、「サービス残業が横行している」として、11月を「キャンペーン月間」に指定し、サービス残業解消に向けた対策を強める方針です。

厚労相「労働安全衛生が課題」と表明(10/8)
 尾辻厚労相は10月8日、厚生労働省の専門紙との会見で、「さしあたって、企業への安全管理の指導、労働者の健康管理の徹底など、安全強化の対策が課題であり、過重労働・メンタルヘルス対策などの細部にわたる充実が今後必要になってくる。」と表明しました。
 また、大災害や労災認定の過労死の急増について、過労死が99年から03年には4倍と急増、重大災害も04年249件と増加にあることに対して、極めて憂慮すべき事態として、次期通常国会で労働安全衛生法の改正案提出を目指すとの考えを述べました。

病院会計準則、21年ぶり全面改正
 厚労省は19日、病院会計準則を21年ぶりに全面改正し、各都道府県や自治体病院等を統括する関係省庁、医療・病院関係団体に送付。公的病院を始め、順次病院での自主活用を促した。
 今回は企業や非営利組織等の会計基準の大幅な変更に伴う全面改正で、資金の流れを把握するキャッシュ・フロー計算書など、より企業会計に近い新会計ルールを導入。
 会計準則は開設主体の異なる病院の財務状態や運営状況を統一的に把握する目的で、今改正では経営管理に有用な会計情報を提供する「管理会計」の側面を重視。日赤や済生会、厚生連等の公的医療機関に対し、開設主体の会計基準を改正「準則」に極力整合させるなどの積極的な活用を求めた。

8割超の病院で汚染針刺し、安全器材、半数近く未導入厚労省調査
 厚労省の全国調査で、HCV、HBV、HIVに汚染された血液が絡む「針刺し」事故が、00〜02年の3年間で8割を越える病院で発生していたことが判明した。実際に肝炎に感染したケースは、少なくとも42病院。針が露出しないようにできるタイプの安全な器材を導入していない病院は半数近くに上る。調査は300床以上の病院全てと200床以上300床未満の病院の一部、計1800施設を対象に実施し、961病院から回答があったもの。

03年度の医療保険医療費は2.1%増
 厚労省保険局がまとめた03年度の「医療費の動向」によると、03年度の医療保険医療費は、総額で30兆8千億円で、前年度から2.1%(6300億円)増加。高齢者自己負担の完全定率制や診療報酬改定などの影響で02年度の医療費は減少したが、03年度は再び増加に転じた。被用者保険については、本人自己負担3割や加入者の減少で2.6%減と2年連続マイナス。国保は加入者増などで3.0%増加。高齢者は02年度0.3%増だったが、03年度は4.7%増であった。

僻地医師配置特例提示
 厚労省は、文科省、総務省と共同の「地域医療に関する関係省庁連絡会議」に、僻地などの病院の医師確保支援のための特別措置について骨子案を示した。医師確保が相当困難と認められるなどの要件を満たす病院について、都道府県医療審議会の意見を聞き、医師配置基準を暫定的に緩和する。特別措置は、(1)僻地などをもつ市町村またはこれに準ずる市町村の区域内に所在、(2)地域医療に不可欠な医療機関、(3)医師確保の努力をしているが、確保が相当程度困難と認定、(4)医師確保、病院機能の見直し等の計画を策定しているーなどの病院から申請があった場合、厚労省は、都道府県審議会の意見を聞いて、医師配置基準を暫定的に緩和する方針。

今年度のDPC試行は62病院
 厚労省は、04年度のDPC試行病院(保険医療機関分)の59病院を官報告示した。4月告示の特定承認保険医療機関3病院とあわせて62病院が今年度のDPC試行病院となる。診断群分類を活用した調査研究班の松田晋哉氏は、「すでにDPC対応の患者別計算の仕組みがあり、それを使って調査対象施設が試行的な調査を実施中。今後、原価計算マニュアルが各医療機関で使用できれば、患者別の原価計算が共通ルールのもとで可能となる」と述べている。 

医療過誤訴訟は987件
 最高裁の「03年医事関係民事訴訟事件統計」の結果がまとまった。
 03年提訴の医療過誤訴訟の数が前年度より81件増の987件になった。
 診療科別では、内科258件、外科214件と今年もトップ。産婦人科が137件で前年度より24件増、精神・神経科も前年の1.5倍に急増。
 提訴件数は10年間で2倍に増加。審理を終えた既済件数が1035件、未決済件数が2015件。平均審理期間は、前年より約3ヶ月減の27・7ヶ月。3年連続で縮小。
 最高裁で01年から、医学会を通じ鑑定人推薦システムを導入したり、都市部で医療過誤訴訟の集中審理部の設置等の成果が現れはじめている。 

「医療業」給与減・労働時間増
 厚労省は、03年度「毎月勤労統計調査」の結果を公表。5人以上の事業所を対象に、毎月の給与額などを調べている。
 「医療業」の平均給与総額は36万8596円(前年度比0.7%減)。
 手当てや賞与を含む全産業の平均給与月額は、33万9471円(前年度比0.9%減)で、3年連続減少。業種別では、「医療業」が全産業を上回った。
 「医療業」の総労働時間は、月146・7時間(前年度比0.6%増)だが、全産業に比べ、1ヶ月で6時間少ない。時間外労働は、月6.8時間だった。

自治体病院再編の検討会が初会合
 総務省は、5月13日、自治体病院の再編・ネットワーク化などを検討する「地域医療の確保と自治体病院のあり方等に関する検討会」の初会合を行った。住民や市町村、議会などの反対で、進みづらい自治体病院の再編効率化を後押しするのがねらい。総務省は、サンプル地域で再編のシミュレーションを行い、財政や医療サービスで、どのようなメリットが生まれるかを具体的に提示していく考え。11月上旬を目途に報告書をまとめる。検討会には、厚労省、文科省も参加。同日発足の全国自治体病院協議会の「医師確保対策等検討委員会」とも連携して検討を進める予定。

高額医療費69億円が未償還
 厚労省は、高齢者の高額医療費制度の全国支給状況を調査しまとめた。02年10月〜03年3月診療分で、約69億6190万円が未支給となっていることが明らかに。同制度は高齢者が支払った医療費が一定額を超えた場合に、超過分を払い戻すもので、老健法改正に伴い02年10月から始まった。同時に、償還率向上にむけた取り組みも調査。都道府県で多く取り組まれているのは、支給対象者に通知する、金融機関の口座振込みで支払う、支給申請書の記入事項を簡素化─など。

メンタルヘルス対策で厚労省が検討会
 厚労省労働基準局は、職場のメンタルヘルス対策を検討する目的で、「過重労働・メンタルヘルス対策のあり方に係る検討会」を設置。厚労省は、現行の対策で、事業所に産業医介入の必要性を強調しているが、産業医の不足等で実施できない企業が多いのが現状。検討会では、産業医の研修や、企業と産業医との連携の重要性が再認識された。 厚労省の02年2月の事業者への通知では、月45時間を超える時間外労働に対し事業者は産業医に状況を報告し助言指導を受ける。100時間を超える場合は、当該労働者に産業医の面接による保健指導を受けさせることになっている。しかし、実施できている企業は10%以下。検討会では7月を目途に結果をまとめる。

ケアマネ職能団体を設立へ
 全国介護支援専門員連絡協議会は、4月29日の全国集会で「日本介護支援専門員協会(仮称)」の設立にむけて着手する方針を決定した。専門員の資質の向上と地位確立を図るとともに、現場の声を反映し、06年改定の介護報酬議論へ意見を提言していく構え。設立準備として、(1)都道府県介護支援専門員連絡協議会の実態調査、(2)各県連絡協議会等との情報交換や設立準備会議の設立に取り組む予定。

混合診療、株式会社参入解禁を検討
 4月12日、政府は規制改革・民間開放推進会議を発足。前身の総合規制改革会議で積み残した混合診療や株式会社の医療経営の全面解禁などの諸課題の解決を図る予定。6月に決定する経済財政運営の基本方針2004(骨太方針2004)にむけて検討を開始する。
 小泉首相は、「経済・社会の全般にわたる徹底的な規制改革が、構造改革の重要な柱になる。消費者の利便性の向上や経済活性化を図るための民間開放その他の規制改革を推進する中核的な機関」として期待を表明。日医の植松会長は、「経済発展だけで良いのか。国民に問いかけ、国民とともに考え行動する」としながら、医療経営参入や公的保険の守備範囲の見直しなどに強い危機感を表明し、反対姿勢を打ち出した。

外国人看護師等の受け入れ規制緩和(経団連)
 日本経団連は、14日「外国人受け入れ問題に関する報告書」をまとめた。業務独占資格分野に属する医師・歯科医師・看護師などの資格要件や就労制限の緩和と在留資格の拡大がねらい。看護職は、日本の看護師資格取得のもと、4年以内の研修として就労が認められている。報告書は、十分な日本語能力を有する者の受験資格の緩和や、4年の就労制限を撤廃などが盛り込まれている。介護職の規制緩和も提案。

04年度政府予算が成立
 3月26日、参院本会議で予算が成立。一般会計総額82兆1109億円(前年度比0・4%増)社会保障関係費は19兆6391億円(前年度比4・3%増)。医療保険制度が、政府管掌健康保険、国民健康保険、老人保険制度等に係る医療費国庫負担が8兆1238億円(前年度比4・8%増)。医師の卒後臨床研修を行う病院への支援として171億円、医療提供体制の充実として、安全対策や情報提供の推進、救急医療体制・訪問看護の整備などに536億円を計上している。他に、SARSや肝炎、難病対策など感染症・疾病対策の充実に1816億円、母子医療体制の充実に941億円、医薬品・医療機器の安全対策充実のために127億円を計上した。

後半国会で株式会社参入の特区法改正案等焦点
 04年度予算が成立したことで、後半国会は、年金改革関連法案が最大の焦点になる。
 医療関連では特区で株式会社が一定条件の下、医療の経営ができる構造改革特区法改正案が提出されている。他に、薬剤師の国家試験受験資格を6年間の教育に改める薬剤師法改正案、小児慢性特定疾患対策のための次世代育成支援対策関連3法案、ツベルクリン反応検査を廃止しBCGを直接摂取する結核予防法改正案などが今国会に提出されている。

鳥インフルエンザで緊急担当者会議(厚労省)
 厚労省は3月8日、高病原性鳥インフルエンザ問題で、全都道府県等感染症対策担当者会議を行った。冒頭に、健康局長は「どの自治体でも発生する可能性がある」として感染が確認された場合の情報伝達を徹底するよう求めた。鳥の殺処理従事者の感染防御体制や、感染者が発生した場合の医療提供体制などを整えるよう再度要請した。処理業務に従事する者に対し、健康状態の確認を行うよう求めてきたが、確認方法は、「疫学調査マニュアル」を現在、国立感染症研究所情報センターでまとめ、近々公表予定。

全国の厚生年金病院「売却」で合意
 与党の年金制度改革協議会は、3月10日、全国10施設の厚生年金病院を地方公共団体や民間に「売却」することに合意した。04年度中に各施設の経営状況を明らかにした上で、05年度に整理合理化計画を策定し売却を進める。売却に当たっては、「地域医療にとって重要な病院」は地方公共団体と協議し「機能が維持できる」よう求めている。与党合意では、年金保険料を今後、年金福祉施設の整備費や委託費に投入しないことを基本的考え方とし、整理合理化にあたっては、05年度に独立行政法人を設置し5年をめどに整理合理化を進める。

宿日直の適正化にむけ指導方針固める
 厚労省労基局は、医療機関での宿日直の適正運用にむけ、各地の労働基準監督署を通じ医療機関の自主的な取り組みを促す指導を実施する方針を固めた。02年3月・11月に通知を出している。昨年12月には都道府県労働局に「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化に係る当面の指導監督の進め方について」を送付し、改善報告書が提出されていない場合や、労基法の許可基準などを著しく超えているにもかかわらず改善計画や改善時期などが記載されていない施設について、指導対象事業所の要件とすることを決めた。宿日直については、行政の許可を得ていれば、睡眠時間の確保等を図れば、「断続的勤務」として医師などに行わせることができる。が、厚労省は、通常勤務に近い宿日直が存在するとし指導を求めている。

ヒヤリハット事例収集を全医療機関に拡大
 厚労省は、4月1日からヒヤリハット事例収集の対象を、全医療機関に拡大する。事例全般をコード化して集めるコード情報は、経時的な把握も含め報告施設を定点化する予定。事例収集は、これまで医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構が行ってきたが、4月1日から日本医療機能評価機構が実施する。コード化情報の収集期間は3カ月から6カ月に延長する。

DPC一部民間病院も含め2年間の試行調査へ
 中医協では、民間病院を含むDPCの対象拡大で、支払い方式を含む試行的調査を06年3月末まで行うことにした。
 医療機関の対象は、昨年7月から4ヶ月間DPCのデータを集積した92施設で「データの質・量が担保された施設」に限定。選定は「手上げ方式」を採用の見通し。試行的調査では、再入院率など「DPC導入の影響評価に関する」調査の評価項目に沿って調査・評価を行い、比較データを1年ごとに中医協診療報酬基本問題小委員会に報告することになっている。結果として、民間病院へのDPCの本格導入は回避されたが、06年末までの限定とはいえ、一部民間の参加となり、今後のDPC論議とあわせて、その動向が注目される。

院内バーコードチェックシステムの検討会設置
 厚労省は、医薬品の取り違え事故防止にむけ、病院内のバーコードチェックシステムのあり方を検討する検討会を設置する。来年度に別の検討会で医薬品などのコード標準化を検討するが、ユーザーの医療機関の体制整備を進めるため、処方情報を電子化して医薬品のコード情報と照合させる情報管理システムの標準仕様を検討する。日薬連では来年3月コード標準化マニュアルをまとめる予定。

経済財政諮問会議 4月から重点政策の検討
 政府の経済財政諮問会議は、1月27日2004年度の検討課題について議論した。2〜3月は「この国のかたち」をテーマに日本経済再生の基礎固めを行い、4月から重点政策の検討を開始する。主な課題は、医療・年金・介護を通じた社会保障制度の総合的な負担と給付のあり方や、世代間・世代内の公平を確保するための制度改革となっている。3月中に民需主導の経済成長のための「改革工程表」をまとめるほか、6月初旬に作成する「骨太方針2004」に検討内容を反映する。

ヒヤリハット事例分析で事業見直し方針
 厚労省は、2月3日の「ヒヤリハット事例検討部会」で、ヒヤリハット事例収集事業の見直し方針を示し、コード化情報については医療機関の特性を踏まえた分析を行えるよう、地区別、病床規模別の分析なども取り入れる考えを明らかにした。記述式で集める重要事例情報はデーターベース化し、ホームページに掲載して医療現場などで活用できるようにする。記述情報の報告機関は、現在現行の国立病院や特定機能病院などから全医療機関への拡大をめざす方針。
 来年度から、医療事故情報の収集は、「第三者機関」になる日本医療機能評価機構で行うことになる。

厚労省・患者調査
 厚労省が2002年10月実施の患者調査の結果を発表した。3年に1度実施しているもの。
 外来患者は647万8千人、入院患者は145万1千人。外来は96年調査の732万9千人から2回連続の減少。入院は同年度比(148万人)3万人減。97年の健保本人の2割負担による受診抑制が浮き彫りになった。
 年齢別に見ると、35〜64歳の患者数は、改悪前の96年の282万4千人から、99年には35万人減少、さらに今回は52万人の減少(19%減)。65歳以上の外来患者数も2回連続減少している。01年の老人医療費への1割負担導入、健保本人の自己負担上限引き上げが患者数の減少に拍車をかけた。

規制緩和反対で意見書
 医薬品をコンビニなど一般小売店でも販売できるように規制緩和を政府が進めていることに反対する意見書が、44都道府県議会で採択されている。
 宮城県の意見書では、「医薬品製造・販売等の諸規則は、過去の副作用被害事例等の反省の上に築き上げられた…国民の健康を犠牲にする恐れのある規制緩和の考え方には、大きな問題がある」と指摘している。反対世論の広がりにもかかわらず、昨年12月、政府は15製品群約350品目を成分を変えず「医薬部外品」として、一般小売店での販売を決めた。