(1) | 調査の実施概要 |
@ | 実施時期 | 2002年6〜7月 |
A | 実施地域 | 高知市・土佐市、京都市上京区・北区、長野県佐久地域、横浜市鶴見区 |
B | 実施形態 | 患者・住民組織や行政、医療機関、福祉施設等を訪問し、懇談・聞き取り調査を基本におこないました。また、補充資料とするため、調査した医療機関の患者へのアンケート調査を若干実施しました。 |
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(2) | 実施地域の概要 |
@ | 高知市・土佐市
高知県は、高齢化がすすんでいるとともに、病床数の多い県です。県・自治体との懇談や統計資料などを通して、高齢化・過疎化の中での高知県全体の医療実態を把握するとともに、医療提供体制再編の下で積極的な展開をはかっている特徴的な医療機関との懇談、聞き取り調査をおこないました。自治体合併の動きが加速している中で、経営改善を実現したところなど、自治体病院の動向も探りました。
共通して出されたことは、「自己完結型から地域完結型への転換」、地域でのネットワークづくりの重要性です。また、患者・住民の医療要求に依拠して今後の展開をすすめていくことの大切さです。
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A | 京都市上京区・北区
西陣など伝統的な地場産業、中小・零細企業の多い地域での調査となりました。
不況の下で、深刻な実態が広がっていました。市営住宅の滞納世帯が4軒に1軒など、多重債務や日々の生活に追われ、医療機関にかかるどころではない状況です。地域の健保組合の解散、無保険者の増加など、国民の生活の場から、皆保険制度の空洞化がすすみつつある状況が明らかになりました。
多くの医療機関で、患者が減るとともに、地域の高齢・長期の入院患者をかかえる実情から、政府の現施策の下では一般病床を大幅に減らさざるを得ない状況でした。このままでは気軽にかかれる医療機関が激減しかねない事態です。 |
B | 長野県佐久地域
保健予防、健康づくり活動など、先進的な活動を展開してきた地域での調査でした。長寿と医療費が低いことの原因については、食生活や高齢まで働くなど体を動かす効用とともに、長年の保健活動の寄与した役割の大きさが口々に語られました。
過疎・高齢化に伴って、農村部でも老人独居、老々世帯が急増しており、在宅・介護の手厚い体制づくりや施設整備の必要性が強調されました。特に南佐久地域では、自治体が各世帯の状況を把握し施策をすすめるとともに、健康づくりやボランティア活動に、住民が生き生きと参加していました。長年にわたる保健予防活動の成果です。
また、医師確保の大変さが語られました。地域の一般医・総合医とともに、専門医の不足も出され、国の医師養成のあり方が厳しく批判されました。 |
C | 横浜市鶴見区
京浜工業地帯の中小企業の多い地域と、山の手の住宅地を抱える地域での調査でした。
ここでも不況が深刻な影響を与えていました。「ある程度元気なうちはまだいいが、倒れたら誰も面倒を見てくれない」という言葉に象徴されるように、医療・介護を受けられない事態が広がっています。特に、痴呆老人について、受入施設がない、片時も眼を離せないなど困難な状況が報告されましたが、他の地域にも共通する大きな問題でした。
大都市では地域社会が希薄になっていますが、自治体の保健活動の後退が、事態をいっそう深刻にしていました。介護保険もあいまって窓口には相談が殺到していますが、その対応さえ満足にできず、地域には人知れず取り残された人々が多く存在する状況です。 |
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(3) | 患者アンケートの結果概要 |
地域医療実態調査の補足資料とするため、懇談・聞き取り調査に協力いただいた医療機関の患者を対象に、「地域医療充実に関する患者アンケート」を若干実施しました。なお、回答数は404名です。
設問1「『病気やけがはなるべく近くの診療所が受けもって、病院は診療所では対応の難しい患者の診療に専念すべきである』という考え方についてどう思いますか」については、「賛成」42.1%、「反対」21.8%、「どちらともいえない」36.1%となっており、賛成が反対の2倍になっていますが、コンセンサスには至っていません。
一方、設問7「政府や自治体は、私的病院があるところには国立病院や公立病院は要らないということで、公的病院を縮小・廃止する政策をとっていますが、これに対して」には「反対」74.2%、「賛成」4.1%、「わからない」21.7%。設問8「患者が大病院に集中するのを避けるため、政府は大病院の外来患者には差額徴収をすることにしましたが、これについてどう思いますか」には「反対」65.2%、「やむをえない」16.1%、「賛成」3.6%、「わからない」15.1%。設問9「医療にも規制緩和をするということで、株式会社が病院経営できるようにする動きがありますが、これに対して」には「反対」54.0%、「賛成」11.3%、「わからない」34.7%となっています。公的医療機関の削減や営利化の下での負担増には、国民の批判が大きいと言えます。
設問3「あなたはどんな理由で医療機関を選びますか」(3つまで選択)では、「自宅または職場から近い」72.6%、「専門的治療が受けられる」56.6%、「保健・医療・介護・福祉の連携がある」40.6%などでした。設問10「あなたの地域で自治体に力を入れてほしいものは何ですか」(4つまで選択)では、「夜間・休日診療や救急医療体制の整備」71.5%、「高齢者などの専門病院・施設などの整備」62.1%、「地域の診療所と大病院との連携」39.1%、「地域の中心となる病院の整備」34.1%、「高齢者・障害者のためのリハビリ体制の整備」27.0%などでした。
設問5「あなたの地域ではお年寄りが安心して入院できる病院や介護施設が整備されていると思いますか」では、病院は「整備されていると思う」43.2%、「整備されていないと思う」32.6%、「わからない」24.1%に対して、介護施設は「整備されていると思う」20.7%、「整備されていないと思う」41.5%、「わからない」37.8%となっています。
また、設問6「最近話題になっている保健・医療に関して関心の高いものは何ですか」(4つまで選択)では、「医療費の負担増」62.9%、「老人の医療・介護問題」58.9%、「医療事故」56.9%などとなっています。
ここに現れている傾向は、医療費負担の重さや老人、救急等の貧困な体制、医療ネットワークの重要性など、実態調査とも一致する特徴となっています。こうした患者・国民要求を基礎にして、医療提供体制を考えていくことが大切です。 |
(1) | 負担増と不況の下、経済的理由から医療機関にかかれない
保険料や窓口負担、利用料など、患者・国民の負担が次々と拡大されてきました。不況が事態をいっそう深刻化させており、経済的理由によって、医療や介護が受けられない人々が急速に増えています。
調査した各地で、受診を中断したとか、受診回数や薬を減らしたなどの話が出されました。「慢性疾患の患者さんが受診を減らし、重篤になって担ぎ込まれている」とか、「給料日の25日しか、患者は来ない。あとは『かんこ鳥』が鳴いている」「介護を受けられるのは、一定の収入があって保険料と利用料を払える人だけ」という状況です。
しかも、受診中断・抑制の話が大きな話題にならないほど不況は深刻です。失業やヤミ金融など多重債務の広がりの下で、「1日1日を生きていくことが先決で、病気のことなど意識にのぼらない。本当にひどくなって慌てて医療機関に駆け込む」などという話が出されました。
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(2) | 国民皆保険制度の空洞化が進行している
国保412万世帯だけでなく、健康保険料の滞納が広がっています。中小企業が事業主負担を払えず、国保に切り替えられたとか、保険証を取り上げられたなどという事態が起きています。「政管健保を外れた事実を知りながら、これ以上の国保滞納者の増大を恐れ、行政が見て見ぬふりをしている」という話もありました。また、資格証の発行が増えており、医療を受けられない事態が進行しています。無保険者が生み出されているだけでなく、「(高すぎる保険料と窓口負担から)もうやめた」と、自らの意志で保険を抜ける人々も生まれています。
国民皆保険制度の空洞化が進行していると言わざるを得ない事態です。「皆保険制度というが、国家や社会、未来への信頼があってはじめて成り立つのではないか。長い年月をかけて築き上げてきたものであり、一度崩れたら取り返しがつかない」という指摘もありました。
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(3) | 入院日数の強引な短縮、行き場のない患者の増大
診療報酬を使った誘導の下で、入院日数の短縮が急速にすすみ、行き場のない患者が増大しています。「老健施設もなく、呼吸器をつけたまま在宅に。日中独居で、ターミナル看護は酸素管理、食事介助、オムツ交換を含め、介護保険では限度を超え、60万円の自己負担。あらゆるボランティアを動員し、20万円に抑え、1日3回の訪問看護を受けた」など、深刻な事態です。「医療の必要度の高い患者は出すべきではないし、家族構成など家庭状況も少しは考えてほしい」「入院する前から、『次の病院を探して』と言われた」など、医療機関に対して厳しい意見も多く出されました。また、6ヶ月以上の入院の15%特定療養費化や入院期間の通算(診療報酬が減額され、病院運営に支障を来たす)について、いっそう深刻な事態になると、強い批判と不安の声が出されました。
介護・福祉施設は質量ともに不足しており、懇談した施設はどこも、数百人から2千人の待機者を抱えていました。「痴呆は、介護度は低いが片時も眼を離せず、手をとられるため、基本的に受け入れていない」など、特に軽度の痴呆老人や合併症を抱えた人の施設が大幅に不足しています。こうした下で、地域住民がボランティアで自宅を訪問しているとか、中には、「痴呆の母親をフトンに簀巻きにして仕事に出ている」という深刻な話もありました。
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(4) | 悲惨な在宅の実態
在宅への移行が推進され、医療を必要とする患者が在宅で治療を継続しています。しかし、貧困な施策の下で、家族やホームヘルパーなどに多大な負担がかかっているのが実態です。介護保険の枠では対応できず、家族が仕事を辞めて付き添っているとか、ホームヘルパーが朝・晩自主的に訪問しているなどの話が出されました。多くの場合に、「キーパーソンとなっている人が(介護疲れで)倒れれば、家庭が崩壊しかねない不安定な状態で、かろうじて支えられている」という実態です。
「訪問回数の問題やショートステイの充実、急変時の医療機関との連携など、在宅を支える施策をもっと充実させる必要がある」「高齢化が進行し、独居老人や老々世帯も増加している。特養やグループホーム、ケアハウスなどをもっと充実させないと無理」などの意見が出されました。行政の担当者からは、介護内容の充実と保険料との間での苦悩も語られました。
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(5) | 保健活動など、住民参加の先進的な教訓
地道な保健衛生、健康づくりの活動など、各地で先進的なとりくみもすすめられています。特に、長野県南佐久地域では、長年の保健予防活動の下で、多くの住民が主体となって支えあい、楽しく生き生きと活動していました。長野の医療費が低い要因については、高齢までみんながよく働いているとか、食文化などの話とともに、「検診や保健予防活動をすすめてきたことが大きく寄与している」と、病院や行政から確信を持って語られました。
他の地域でも、住民組織や病院友の会の役員が、困難な家庭を訪問するなど、支えあっている現状が明らかになりました。また、施設を超えて、地域での「ケア検討会」など、地域を軸に、医療・介護従事者の連携や協力も生まれてきています。
一方で、介護保険制度を契機に行政の役割がいっそう後退し、地域の実態が把握できない状況が生まれています。保健師からは「保健が福祉に吸収された。出てきた個別事例への対応に追われ、地域を見る余裕はない」などという声が出され、住民組織からも「援助は本当に大変だが、体の続く限りはと、家を訪ねている。まだ、私たちのつかめる範囲はいいが、誰にも助けてもらえず、もっと大変な状況に置かれた人たちがいる」などの話が出されました。
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(1) | 先行き不安を募らせる医療機関
政府の徹底した医療費抑制策、診療報酬も利用した機能分化の押しつけの下で、各医療機関は生き残りに必死になっています。実態調査の中でも、都市部の大規模基幹病院などごく一部を除いて、先行きへの不安感が浮き彫りになりました。
各医療機関で、患者減の影響が語られるとともに、「これ以上、何をしろというのか」「地域要望もあり、老人や長期患者を切るわけにはいかない。(240床あるが、)急性期で残せるのは50床程度」など、怒りと諦めにも近い声が出されました。
このままでは、身近にかかれる医療機関、地域に必要な医療機関が大幅に減少しかねない事態と言わざるを得ません。
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(2) | 機能分化の強制に大きな批判
「機能分化しろと言われても、地域に一つの病院で、やりようがない」「今年の診療報酬改定などを見ても、国はいったい何を考えているのか。手術料の減算など、説明のつかないことが多い」など、医療機関からは、国の政策、診療報酬も使った機能分化の押しつけへの批判が強く出されました。
患者アンケートでは、「病・診の機能分化」には賛成42.1%、反対21.5%、どちらともいえない36.1%でしたが、「公的病院の縮小・廃止」には賛成4.1%、反対74.2%、「機能分化のための大病院の外来差額徴収」には賛成3.6%、反対65.2%となっています。患者・住民との懇談でも、入院日数による患者追い出しに厳しい批判の声が上がりました。患者アンケートでは、「医療機関を選ぶ理由」は、「自宅または職場から近い」72.6%、「専門的治療が受けられる」56.6%、「保健・医療・福祉・介護の連携がある」40.6%となっており、機能分化の画一的押しつけではなく、住民要求に基づいて地域ごとに柔軟な体制をつくることが求められています。
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(3) | 医療の営利化を危惧する声
混合診療の導入や医療経営への企業参入については、「株式会社には医療や福祉の経営は無理。採算だけを考えていてはできない。何とかやりくりしているのが実態で、儲からない患者は取らないとか、(赤字の施設・部門から)すぐに撤退するでは、成り立たない」などの指摘が、医療機関や福祉施設から出されました。また、患者や地域からは「今でもどんどん負担があがっているのに、儲け本意でやられては到底かかれない」「都市部はいいかもしれないが、田舎では業者も来ない」など、不安の声が出されました。
患者アンケートでも、「株式会社の病院経営」については、賛成は11.3%に止まり、反対54.0%、わからない34.7%となっています。
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(4) | 展望は患者・住民要求に依拠すること
一方で、地域住民に依拠して展望を切り開こうという動きも広がっています。地域の医療要求を把握し、それに対応した医療機関への改革をすすめようというものです。
「農民(住民)とともに」とか、「自己完結型から地域完結型への転換」が、多くの経営者から語られましたが、医療・福祉のネットワークづくりがすすんでいます。ある医療機関では「在宅の急性期」という打ち出しで、大病院を退院した医療の必要な患者の在宅を受け持ち、その急変を病院で対応しようという試みもみられました。
在宅や地域で活動する職員からは、「病院は、質、質といっているが、自己満足になっている面があるのではないか。質を判断するのは患者」とか、「この患者が退院したらどうなっていくのかなども考えて、看護をしてほしい」などの意見も出されていました。もう一度、住民とともに疾病の克服をめざすという原点に立ち返ることが求められています。
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(5) | 過密労働に拍車、医療内容の低下も
各医療機関では、生き残りのために、徹底した「合理化」と人件費の抑制がすすめられています。こうした下で、超過密労働で疲れ果て、健康破壊やバーンアウトが後を絶たない状況など、職員からは悲惨な実態が出されました。このままでは、医療内容の低下を招きかねない状況です。患者からも「忙しいのはわかるが、最近職員が冷たい。前はもっといろいろと状況も聞いてくれ、アドバイスしてくれた」「質と言われれば、確かに下がったのではないか」などの指摘がされました。
ある特養経営者からは「賃金水準は本当に低い。若い職員ばかりだからいいが、定額制の今の報酬のままでは、今後は成り立たない」などの話も出されました。一方で、「賃金を切り下げるとか、派遣に切り替えるのは簡単だが、それでは士気が保てず、まともな医療は保障できない」など、職員に依拠する姿勢を示す経営者もありました。
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(6) | 深刻化する医師不足
多くの医療機関で、医師確保が深刻な問題となっていました。「大学の医局にいくら頼んでも、絶対数が足りず、来てくれない」「総数では何とかなっても、診療科ごとに見れば完全な不足」などの指摘がされました。医師不足から収入が減り、深刻な経営問題となっている病院もありました。「医師は過剰」と言われますが、大都市部を除き、不足に苦しんでおり、専門領域ごとに見れば、完全に不足している実態です。
佐久病院などでは、診療所など地域の第一線の一般医について、休暇や研修の代替要員の確保などサポート体制をとって燃え尽きない配慮をしながら確保している先進的な教訓もありました。同時に、「専門医の養成は民間では難しい」「国は大学教育から見直して、医師確保ができるようにしてほしい」などの指摘もなされました。
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(1) | 必要な医療の確保と公的責任の明確化 |
@ | 国庫負担の増額を基本に、医療へのフリーアクセスを保障する
患者・国民負担を引き下げ、経済的理由から医療にかかれない事態をなくすことが必要です。
保険料の軽減をはかるとともに、低所得者への保険料減免制度を拡充し、保険証取り上げや無保険者という事態を解消すべきです。保険料は所得に見合ったものとし、高額所得者については適正な引き上げを実行すべきです。
保険制度でありながら、窓口負担の基本が3割になろうとしている異常な状況を抜本的に見直し、窓口負担・利用料ゼロに向けた引き下げが必要です。当面、2002年健保法等改悪の撤回を求めるとともに、窓口での減免制度や受領委任を拡充して、医療へのアクセスを保障すべきです。
財源については、国庫負担の増額を基本とすべきです。不必要な大型公共事業の削減、軍事費の削減、大企業や高額所得者への税率引き上げなどで、社会保障重視の国家財政への切り替えをはかる必要があります。逆進性で、不況をさらに加速させる消費税の増税はおこなうべきではありません。
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A | 入院日数による病院追い出しを止め、必要な一般病床を確保する
入院日数による機械的な機能分化をやめさせます。行き場のない患者をつくらず、患者が安心して治療に専念できるようにする必要があります。
2003年8月までに一般病床と療養病床の選択が迫られています。厚生労働省は、急性期病床を50〜60万床以下に削減しようとしています。しかし、現在の療養型には、医療の必要度の高い患者が多数入院しており、急変という事態も増えています。一般病床には急性期とともに亜急性期をきちんと含め、医療の必要性から判断した適切な病床数を確保することが必要です。地域医療計画は、必要な医療の確保・整備を目的としたものであるという観点から、病床規制は現在の上限規制から下限規制に改めるべきです。
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B | 在宅・介護の基盤整備
20万人とも言われる特養待機者、グループホームなど多様なニーズに合わせた形態など、介護・福祉の基盤整備は大きく立ち遅れています。行き場のない患者をつくらないためにも、介護・福祉の基盤整備の目標を引き上げ、それを早急に実現する必要があります。
また、医療の必要度の高い患者が在宅に追いやられないようにするとともに、在宅の手厚い医療・介護のサービスを提供できるようにすべきです。
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C | 救急医療体制の整備
国民的な課題となっている小児・精神など、夜間休日、救急医療体制の抜本的な整備をすすめることが必要です。公的病院や大規模病院に積極的な役割発揮を求めるとともに、行政が責任を持って地域の医師・医療機関の協力体制をつくり、輪番制や共同利用型施設などを整備していくべきです。
核家族化の進行などの下で、夜間・休日の電話相談体制をつくり、救急医療体制との連動した有機的な制度を構築していくことが大切です。
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D | 初期医療とプライマリケアの充実
初期医療とプライマリケアの充実をはかる必要があります。学会や大病院との協力の下に、診療所や中小病院の医師の教育・研修をすすめ、医療内容の向上をはかるとともに、国民が安心してかかれる医療体制をつくることが大切です。かかりつけ医制度を浸透させ、国民の健康増進をはかるべきです。
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E | 公的医療機関の積極的な活用
公的医療機関の統廃合・移譲を止め、その役割の積極的な発揮の方向に転換することが必要です。政策医療や不採算医療を担うとともに、規範的医療を推進する中核として整備拡充すべきです。民間医療機関や福祉施設とのネットワーク、自治体等との連携を強化し、住民要求に応える医療を積極的に担う必要があります。また、教育機能を充実させるとともに、低所得者の医療を積極的におこなうべきです。
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F | 過疎地域への特別対策の具体化
過疎地域は、高い高齢化率や脆弱な自治体財政、医療機関や医師の不足など、いっそう困難な状況に置かれています。過疎地域への対策を特別に位置づけることが必要です。
国の補助金を増やし、保険料の高騰を抑えつつ、基盤整備をすすめることが大切です。医療機関の不足地域には、公立医療機関を設置するとともに、県立病院や大学などからの医師の派遣体制を確立していくべきです。
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G | 営利主義を認めず、社会保障としての医療を発展させる
我が国の医療制度は、生存権や健康権を求める運動の中で築き上げられてきたものです。医療制度を社会保障から、金儲けの場に変質させる営利化・市場化は認められません。現在執拗に狙われている株式会社の経営参入や混合診療、経済特区などの導入の策動はきっぱりと止めるべきです。
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(2) | 安全でゆきとどいた医療の実現 |
@ | 第三者機関の設置など医療安全対策の強化
国民に安全でゆきとどいた医療を提供するために、医療安全対策を抜本的に強化することが必要です。個人責任から、組織的な安全対策への本格的な転換をはかるべきです。
その中核として、行政や医療機関から独立した第三者機関として、「医療安全対策委員会(仮称)」を設置することが大切です。この機関は、調査権を有し事故事例を分析するとともに、医療機関やメーカー、行政への改善勧告の権限を有するものとすべきです。また、被害者・家族、医療機関の相談窓口、情報提供をおこなうことも必要です。
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A | 民主的な職場づくりとチーム医療の確立
医療事故をなくし、医療内容の向上をはかるためにも、自由にものが言える民主的な職場をつくることが必要です。医師への絶対的な権限の集中やパターナリズムを廃し、各職種が権限を持って医療に参加できるようにすべきです。
患者の参加も含めたチーム医療の確立によって、医療の向上をはかることが大切です。
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B | 教育研修の保障など、医療内容の向上
専門職にふさわしい、教育・研修制度の充実をはかり、医療内容を向上させていくことも必要です。学会や大学との協力によって、最新の医療内容の普及をすすめていくべきです。公的な生活保障を実現し、臨床研修などの充実をはかるべきです。
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C | 医師不足の解消
深刻な課題となっている医師不足を解消するとともに、勤務医の劣悪な労働条件を改善する必要があります。
地域の第一線の一般医・総合医の確保に国が責任を持ち、教育・養成制度から見直すべきです。特に、僻地など医師の絶対的不足地域への医師の派遣制度を、国や自治体の責任でつくる必要があります。また、地域の第一線医のバーンアウトを食い止め、必要な継続教育・キャリアアップを図るため、公的医療機関などの中に支援体制を確立していくべきです。
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D | 看護職など必要なマンパワーの確保と労働条件の改善
超過密労働の下で、看護職などの健康破壊、離職が後を絶たず、安全な医療にも深刻な影響を与えています。看護職員など医療労働者の配置基準の抜本的な改善をはかることが急務です。
看護職員については、入院は2対1以上、外来は15対1以上、手術台1台に3人以上の配置を実現すべきです。夜勤体制は患者10人に1人、回数は月6日以内など、働き続けられる労働条件に改善することが大切です。
また、患者のいのちを預かる医療の直営原則を堅持するとともに、労基法の遵守など働くルールを確立し、働き続けられる職場とすることが必要です。
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E | 原価主義を原則とし、安全のコストを盛り込んだ診療報酬への改善
診療報酬は、提供された医療への経済的対価であることを明確にし、原価主義に基づいた適正な報酬に改めるべきです。人員に関する点数を明確にし、医療労働者の適正な人員配置を保障するとともに、その専門性と仕事内容に見合った適切な点数設定にする必要があります。同時に、減算措置をあらため、安全のコストを盛り込むことが大切です。
また、理屈の通らない人件費や諸経費の技術料への包含や薬価差で成り立つ構造を転換し、医薬品、医療機器などの原価に基づいた報酬に一定の付加価値をつけ、透明性の保たれる点数設定とすべきです。
介護報酬についても、ケアマネージャやホームヘルパーの適正な人件費を保障できる点数に改めることが必要です。
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(3) | 患者・住民参加による保健・医療体制の構築 |
@ | 住民参加による医療・福祉計画づくりとネットワークの構築
医療の主体は患者、国民です。住民参加によって、保健・医療・介護・福祉の総合的な計画をつくり、地域事情にあわせた医療提供体制、ネットワークを構築していくことが必要です。
そのため、医療審議会の委員等について、公募枠を設けるとともに、住民アンケート、医療懇談会等をおこなうべきです。
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A | 情報公開と医療への患者の参加
医療情報を積極的に公開し、住民が主体的に医療に参加できるようにすることが必要です。
行政が各医療機関の診療内容や体制等の情報を把握し、住民に公開するようにすべきです。そして、患者・住民が主体的に医療機関を選び、また、いろいろな要望が出せるようにしていくことが大切です。
インフォームド・コンセントを徹底するとともに、患者がチーム医療の一員として、自らの判断で主体的に医療に参加できるようにすることが大切です。公的な医療相談窓口の整備とともに、セカンドオピニオンを制度として確立すべきです。
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B | 公的保健活動の抜本的強化
早期発見・早期治療は医療費抑制にも大きな効果があります。住民参加によって、保健予防、健康づくりの活動を抜本的に強化していく必要があります。
そのため、自治体の保健活動を再構築し、住民実態の把握や検診、健康相談活動を抜本的に強化していくべきです。住民が主体的に関われるようにするためにも、健康大学など、住民への啓蒙活動を強化し、地域医療、健康づくりの人材育成をすすめていく必要があります。
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