退勤時間調査・サンプル集計(第1回報告)について

1. 日本医労連はこの秋、不払い時間外労働を一掃し、時間外労働の縮減をすすめていく活動の一環として、全国で「退勤時間調査」にとりくんでいます。これまでのところ、200あまりの医療機関等(一部福祉施設を含む)で実施されています。調査結果については、各組合で集計し、経営者との交渉等に活用していくこととしていますが、日本医労連としても、一定の組合から生データを提供してもらい、サンプル的に集計をおこなっています。11月11日までに、8,446名分のデータを集積したところです。「退勤時間調査・サンプル集計(第1回報告)」として、ここにご報告するものです。
1. 調査結果の特徴は第1に、その大半が夜勤・交替制労働者でありながら、平均でも70分を超える恒常的な時間外労働を強いられているということです。始業開始前の時間外労働(前残業時間)が平均15.8分、終業時間後の時間外労働(残業時間)が平均46.8分などとなっています。特に残業時間は、60分以上34.3%、120分以上12.8%となっており、業務に追われ、仕事が終わらない実態があらためて示されました。大幅増員をおこなうことが、安全な医療を実現するためにも切実な課題となっています。
1. 第2の特徴は、時間外労働の賃金がきちんと払われているのが、3分の1(35.8%)に止まったことです。不払い時間外労働(いわゆるサービス残業)は社会的にも問題となり、是正が迫られていますが、依然として広範に存在しているのであり、いっそうの対策強化が必要です。ちなみに、各種統計資料も参考に、この結果から不払い分の賃金を推計すると、1人当たり年間42万円程度、病院に限っても年間総額7千億円程度という巨額になります。これを全額増員に回すとすれば、12万人程度の増員が可能です。
1. 第3の特徴は、特に看護職と青年層で時間外労働が長いということです。残業時間についてみると、看護職では平均51.6分、60分以上が4割近く(38.2%)になっています。さらに24歳以下では、平均58.1分、60分以上が45.4%にも達しています。
1. 各組合では経営者に改善を求めるとりくみを強めています。日本医労連としても、11月19日には中央行動を実施し、厚生労働省をはじめ各省庁との交渉や国会議員要請行動などをおこないます。この中でも、調査結果など現場実態を示し、安全でゆきとどいた医療・看護を保障する人員体制の強化と、そのための財政措置等を求めていく予定です。また、現在すすめられている「第6次看護職員需給見通し」の策定作業等への反映を求めていきます。
以上