勤続6ヵ月以後の年休の法定付与日数は労基法で別途定められています。(下の表1、表2を参照)
なお、以上は労基法が求める最低の基準です。協定でこれ以上の内容をめざしましょう。
◆年休の世界レベルは…ヨーロッパでは4週間
ILO132号条約では、6ヵ月継続勤務の者につき年の休暇日数を3労働週とし(5条、3条)、3労働週のうち少なくとも2労働週は一括付与すべきとしています(8条)。実際にヨーロッパでは4〜6週の休暇日数というのが大勢を占めています。また、病休は年休に含ませないのが原則です(同条約6条2項)。病気休暇は別にあって、年休を病休に振り替えないのが基本的考え方です。
◆年休取得の自由、「時季変更権」と使用者の承認は不要
有給休暇は使用目的に関係なく、また使用者の許可を必要とせず、労働者が自由に取得できる権利です。
一方、使用者は労働者が有給を取得すると「事業の正常な運営を妨げる場合」にのみ「他の時季に与えること」ができ(労働基準法第39条)、これを使用者の「時季変更権」といいます。
裁判所は、使用者に対して「単に業務の繁忙、人員の不足というだけでは事業の正常な運営を妨げる理由にならない」、企業が「事業の正常な運営を妨げないだけの人員配置をすることは当然」(昭和51年2月5日、高知地裁、高知郵便局事件)等、安易な「時季変更権」の行使を不当とする判決を下しています。
◆年休の繰越…年休権は「2年で時効」
その年度に消化しなかった年休を次年度以降に繰り越すことについては、法律上は明文の規定はありません。労働省の解釈(昭和22年12月15日基発501号)では繰り越しを認め、その年休権は2年の時効で消滅するとしています。(労基法115条)
◆年休は消化することが基本…年休の買い上げ予約はダメ
あらかじめ年休の買上げを予約し、その代わりに予約された日数について年休取得を認めないことは、年休保障の制度趣旨に反するので許されません(昭和30年11月30日基収4718号)。
◆年休取得と不利益扱い
年休を取ったことを理由として「不利益な取り扱い」をすることは明らかに法律の趣旨に反します。「不利益な取り扱い」の例として、年休を取得したことで賞与・皆勤手当や出勤奨励金、出勤率などに対し不利益に査定することは許されません。
◆年休による雇用の創出(国の試算では代替要員は92万人)
年休完全取得するためには職場の要員を増やす必要があります。経済産業省・国土交通省他の試算によると、代替交代要員の雇用創出は92万人となり、労働者全体でみると3兆4638億円の収入増となります(平均年収367.5万円×92万人)。
また、自由時間デザイン協会では、148万人で11.8兆円の経済波及効果があると試算しています。
|