産前休暇請求権の行使は、女性労働者の自由に委ねられています。これに対し、産後休暇は強制的なものです。産後6週間は本人が希望しても就労することができないのです。使用者がこの規定に違反すれば、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。(労基法119条1号)。
産前の休業期間については出産予定日を基準にして計算し、産後の休業期間については実際の出産日を基準にして計算します。
◆「出産」の範囲
65条の「出産」の範囲について、労働省の通達では、妊娠4ヶ月以上であれば、流産や死産、妊娠中絶も含み(昭和26年4月2日婦発113号)、4ヵ月以上で流産や中絶をしても、産後休暇を取得できます。
◆産前・産後休暇と賃金
労基法では休暇中の賃金について何の規定もしていません。なお、健康保険法50条2項により、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、産後8週間について60%の出産手当金が、社会保険等より「出産育児一時金」(一児につき30万)が支給されます。また、産休は有給休暇日数の算定にあたっては出勤とみなされます。(労基法39条7項)。
◆不利益取扱いは許されない
昇給の用件である出勤率の算定について、産前・産後休業および育児時間を欠勤扱いにすることは公序良俗に違反するので無効です(日本シェーリング事件・最高裁平成元年12月14日判決)。
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