医労連  
働く者の権利-職場のチェックリスト

17 パートについて

パート労働者の権利がきちんと保障されている。
パートタイム労働法第3条(事業主の責務)
 事業主は、その雇用する短時間労働者について、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して、適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善(以下「雇用管理の改善等」という。)を図るために必要な措置を講じ、当該短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように努めなければなりません。
パートであろうが、アルバイトであろうが働いて賃金を得ている人はすベて労働者として「労働基準法」の適用を受けます。
 「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」通称:パートタイム労働法はパートタイマーが増大するなかで、特にパートタイマーの労働条件の確保・改善のため1994年12月から施行されています。

パート法の指針が改正(2003年10月1日適用)
 2003年8月にパート法の指針が改正され、パートタイム労働者にも労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労災保険法。男女機会均等法、育児・介護休業法、雇用保険法などの労働者保護法令が適用されます。

労働者が失業すれば、一定期間、失業給付が受けられます。パートタイマーでも以下の要件を満たしていれば雇用保険の対象となります。
短時間労働者被保険者 <加入要件>
@1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
A1年以上引き続き雇用されることが見込まれるとき。

1日実働8時間を超えれば割増賃金が支払われます。事業主はパートタイマーには基本的には残業させないように努めなければなりません。(パートタイム労働法指針)しかし、やむを得ず残業をした場合は割増賃金が支払われます。
 その場合、労働基準法の「1日8時間」労働の原則はパートタイマーにも適用されます。たとえば1日6時間働くパートタイマーの場合は6時間から8時間までの2時間分については通常の賃金を支払い、8時間を超えた分について、事業主は通常の賃金の2割5分増しの賃金を支払わなければなりません。
 深夜(午後10時から午前5時)労働の場合は2割5分以上、休日(1週1回と決められた法定休日)労働の場合は3割5分以上の割増賃金を支払わなければなりません。
 しかし、6時間から8時間までの2時間分の割増を支払うかどうかは事業主の任意ですから、労働組合があるところではこの分も割増を支払わせるよう交渉することが大切です。
 パート職員だから仕事の内容に差があるわけではありません。常にひとのいのちに接している労働者として処遇・労働条件の均等待遇とあわせて技術、能力向上のための研修・教育などについても正規職員と同様の研修・教育を徹底するよう要求しましょう。

パートだからといって勝手に解雇はできません

パートだからといっていつでも解雇できるということはありません。パートも労働基準法に守られた労働者です。

雇用の期間を定めていない場合
 通常の労働者と同じで定年まで働くという契約です。解雇するには「合理的な理由」が必要です。また「合理的な理由」があっても30日以上前に解雇予告をする必要があります。30日以内なら、30日分以上の賃金に相当する「解雇予告手当」が必要です。
 「合理的理由」とは就業規則で定められているケースもありますが、通常は企業に重大な損害を与えた場合や社会的モラルを侵すなどした場合が考えられます。また、リストラを目的とした解雇には「整理解雇の四要件」に照らしてどうかを判断します。

雇用期間を定めている場合
 3ヶ月、6ヶ月というような雇用期間を定めている場合には、その期限について雇用が保障されますが、期間を過ぎて契約更新をしなければ契約は終了します。しかし、契約期間を延長したり、繰り返し更新した場合は実質的に「期間の定めのない労働契約」と認められます。その場合は「合理的な解雇理由」と「30日以上の解雇予告期間または解雇予告手当が必要となります。

整理解雇の四要件
 不況だから、赤字だからといって企業が一方的に労働者を解雇できるわけではありません。判例では厳しい要件が必要とされています。それは(1)経営上のやむをえない必要性(2)整理解雇の回避努力義務(3)解雇対象者の選定基準・選定の合理性(4)労組との話し合いなど手続きの合理性が求められます。
パート・臨時労働者の労働条件改善と「均等待遇」実現 ILO175号条約の批准とパート法の改正をもとめて
 パート・臨時で働く労働者(週35時間未満の短時間労働者)は1500万人を超え、雇用労働者の2割に達しています。パート・臨時労働者の7割が女性であり、女性雇用労働者の5割がパート・臨時で働いています。長引く不況やリストラ「合理化」の影響で、パート・臨時労働者をめぐる環境はいっそう厳しさを増しています。賃金についても正規労働者との格差が拡大する一方になっています。

 1994年6月、ILO(国際労働機関)総会では「パートタイム労働に関する条約」とその勧告が採択されました。日本では1993年に「パートタイム労働法」が施行され、その後の改善措置にもかかわらず、いっこうにパートタイム労働者の働く条件は改善されず、均等待遇を求める声は、ますます高まっています。また、地方自治体の非常勤・臨時・嘱託等の職員は、その就業形態が正社員と同じであるにもかかわらず、賃金や社会保障の面での格差が存在するものの、「パートタイム労働法」では適用対象から除外されており、この改善が求められています。
※長野・丸子警報機事件で、同じ勤続年数である場合、臨時職員が正社員の8割以下となるときには、公序良俗に違反し違法である、との判決が出されています。
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