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日本医療労働組合連合会 〒110-0013 東京都台東区入谷1-9-5 TEL03-3875-5871 FAX03-3875-6270 地図はこちら |
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矛盾深まる再編計画−住民運動で3年ストップ 青森 |
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地域住民の医療要求に応えられる自治体病院を存続・拡充させ、地域の医療を守ろうと結成された「西北五地域医療を守る住民の会」も、早いもので今年7月で3年目を迎えました。
ひろがる住民運動
当初、手探りで始めた運動も、住民との対話を積み重ね、地域での草の根の運動を意識して取り組んできたことにより、いまその運動が実を結びはじめ、貴重な成果が生まれています。
自治体病院機能再編成計画で、無床の診療所化が予定されているつがる市では、病院の存続を求めて住民自らが運動に参加し、僅か4ヶ月の間に市民4人に1人にあたる1万1千筆余りの署名が集約されました。
住民運動の広がりは、やがて行政をも動かし、市長が病院存続を表明したのをはじめ、市議会に提出した「病院存続を求める請願」は全会派会長が紹介議員となって全会一致で採択されました。こうした運動は、県や運営主体の広域連合にも影響を与え、現在もつがる市での無床診療所化、西北五地域における他の自治体病院サテライト化計画を押しとどめています。
矛盾だらけのプラン
住民の会は今年3月、広域連合が発表した「西北五地域における自治体病院機能再編成マスタープラン」について懇談をおこないました。出された「マスタープラン」は、中核病院を優先し他のサテライト病院については先送りした内容で、広域連合の担当自身も「マスタープランとは言えない」と認めざるを得ないほど矛盾を抱えたものでした。広域連合がこうした計画とせざるを得なかったのも、私たちの運動の成果であると考えています。しかし、このような成果の一方で、医師不足は依然として待った無しの状況にあり、計画当初からの目的である医師確保については、中核病院の構想が一定明らかになった現時点でも実現の目途が立っていません。
深刻な医師不足
青森県内には29の自治体病院がありますが、各病院が運営上必要とする常勤医は、今年5月現在で総数より136人不足しており、充足率が77%にとどまっています。充足率100%を満たしている病院は僅か4病院、中には充足率50%を割っている病院もあります。また、県内で唯一医学部を持つ弘前大学でも103人の卒業生のうち県内病院の研修医として残ったのは24人しかいません。
「住民の会」の活動の一方で、私たちは県労連・自治労連・医労連の三団体で、医師確保に関係する県・市町村・大学をそれぞれ訪問し、「何を考え、何に悩み、何を望んでいるのか」をつかむため要請・懇談をおこなってきました。
県内をキャラバン
また、今年1月から2月にかけておこなった「地域医療を守る自治体キャラバン」では、自治体首長や病院関係者から「今すぐ医師を確保しなければ病院を維持できない」「懸命に努力しているが、自治体独自の努力だけではどうにもならない。即効性のある施策を講じて欲しい」など、県のリーダーシップを求める声が共通して出されました。
また、キャラバン行動の一環として、県内38市町村議会に「医師の需給計画策定と具体的施策を講じるよう県に求める」陳情書を提出し、19の自治体で可決されました。
後日私たちは、キャラバンで出された意見を持って県と交渉。県は、医師確保はあくまで開設者である自治体の責任であり、医師需給計画についても、実務的に困難であることなどを理由に、策定しないとの考えを最後まで崩しませんでした。
大学医学部も訪問
5月には弘前大学を訪問し、「医学生の入学定員の拡大と地域枠の更なる充実、医学生に対しこれまで以上に地域医療の重要性を深める教育を求める」要望を行いました。大学側は、入学定員の拡大は出来ないとしながらも、国がおこなった医学部の定員枠減の当時の理屈については崩れているとの考えを示しました。また、大学自体に医者が残らない実情なども率直に出され、医師確保に向けた県のリーダーシップを求める声が出されました。
こうした一連の取り組みを通じ、県・自治体・大学ともそれぞれ医師確保について考えは持っているものの、「統一的な連携がとれていない」「お互い信頼関係がまだまだ不十分」なことが明らかになりました。三者が率直に議論する場をつくることが重要です。
これからが正念場
最近、各社新聞紙面で医師不足に関する記事を目にする機会が本当に多くなりました。医師不足の現状は一刻の猶予もない危機的な状況にあり、早急な対策が求められています。医療の崩壊は地域の崩壊に直結しており、こうした状況が続けば、人は安心して住めなくなってしまいます。
私たちの地域医療を守る運動はこれからが正念場ですが、この間の取り組みで得た成果と教訓を全国に発信しながら、「地域が丸ごと健康」を取り組みの大きな柱に、これまで同様、住民とともに地域での運動に奮闘したいと考えています。
(青森県医労連書記長・工藤紹隆)「医療労働者1434号」より
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