日本医労連とは
日本医労連(日本医療労働組合連合会)は、病院や診療所、福祉施設などの職場で働く労働者・労働組合でつくっている、日本で唯一の医療の「産業別労働組合(産別)」です。
日本の医療機関の設置主体は、大まかに分けて国・自治体・民間とあり、職員に適用される法律も異なりますが、国の医療制度のもとで、国民の生存と健康の保持に直接関わる事業としての共通性を持ち、事業の収益は、社会保険診療報酬に基本的に規制されています。
したがって、医療労働者の賃金・労働条件についても、産別統一要求をかかげ、産別統一闘争で経営者に迫り、組合のない職場を含む医療労働者全体の労働条件向上につなげるために、日々奮闘しています。
現在、日本医労連は、7全国組合・47都道府県医労連で構成され、約17万人が加入しています。国立病院・療養所、自治体立病院、日赤病院、厚生連(農協)病院、社会保険病院、労災病院、国家公務員共済連合会病院・公立学校共済組合病院、済生会病院、厚生年金病院などの全国的な病院や、国公立・私立大学の付属病院、民間の病院・診療所、訪問看護ステーション、老人ホーム・保健施設、調剤薬局、重症心身障害児(者)施設・肢体不自由児施設、保育所などの福祉施設も含めて、設置主体や企業規模の違いをこえて、医療や福祉の職場・関連する事業所ではたらく労働者・労働組合が加入しています。
日本医労連の歴史
1945年の敗戦後に、次々と生まれた労働組合の中で、医療労働者も日赤病院や国立病院の中で労働組合が結成されました。その後のレッドパージの中で、たたかいの後退を余儀なくされながらも、全厚労、健保労連(現健保労組)や全労災が結成され、1957年8月31日、9組合3万800人が加盟する日本医労協(日本医療労働組合協議会、日本医労連の前身)が結成されました。
前近代的な医療職場の中で、私たちは、マスコミも応援した「人権闘争」と呼ばれた1960年の「病院ストライキ」をたたかい、大幅賃上げや劣悪な労働条件改善、看護婦の看護婦の「恋愛・結婚・通勤の自由」を獲得してきました。
また“ニッパチ闘争”といわれた「夜勤は複数・月8日以内」を求める「増員・夜勤制限闘争」(68年)、「さわやか運動」((1)差額ベッドの規制・解消、(2)付き添い看護料の患者負担廃止、(3)病院給食改善、(4)高額療養費の医療機関への受領委任、(5)患者からの贈り物廃止)という5点改善運動(78年)を行い、世論の注目を集め、患者・国民からも歓迎されました。
80年代には臨調「行革」路線に反対して、国民の医療・福祉を守る運動を全国的に展開し、89年からは、看護婦不足の解消と社会的地位の向上、患者・国民の医療と看護の改善を求めて「看護婦闘争=ナースウェーブ」を展開し、「看護婦(師)確保法・基本指針」を作らせるなど、国民的な支持と理解を広げて運動してきました。
現在は、医療事故防止、安全・安心の医療など、国民の医療・福祉要求に応えるために、「大増員闘争」や「医療・社会保障闘争」力を入れて取り組んでいます。
日本医労連の主な取り組み
●医師・看護師などの大増員闘争
日本医労連は、医師・看護師をはじめとする医療従事者不足が、安全・安心の医療確立にとって最大の障害となっていることを、積極的に世論にアピールし、社会問題化させてきました。そして05年度から「大増員闘争」を方針に掲げ、「増員署名」や各地のナースウェーブ運動、全自治体での「決議・意見書採択」などに取り組み、「看護師確保法」の見直しや「診療報酬や人員配置基準」の改善を求めて運動しています。
また職場でも「退勤時間調査」や「看護職員の労働実態調査」などの結果を活用して、現場の実態アピールや増員への取り組みを強めています
●地域医療を守るとりくみ
政府の「構造改革」による医療切り捨て政策の中で、公的・民間病院問わず、医師・看護師不足などの問題を抱えています。国公立・公的病院の統廃合がすすみ、療養病床の乱暴な削減なども大問題になっています。
公的病院である厚生年金・社会保険病院の廃止・売却反対、労災病院などの「合理化」再編成反対、自治体リストラと合併に伴う自治体病院の統廃合反対、療養病床削減、医師不足などを背景とする医療機関の廃止・縮小反対、住民要求にもとづいた病院づくりの運動などに取り組んでいます。
●賃金・労働条件を向上させる取り組み(春闘・秋闘)
労働組合の基本的な役目である労働者の賃金・労働条件を向上させるための活動が春闘・秋闘です。労働組合の要求は、それぞれの職場討議を経て、要求提出、団体交渉、妥結という手順を踏んでいきますが、産業別労働組合として、産別統一要求を掲げ、要求提出日、回答指定日、統一行動日などを設定し、産別統一闘争として横断的にたたかい、社会的な役割にふさわしい賃金・労働条件の水準をめざして、各地で奮闘しています。
また看護師最賃(産業別最低賃金)制度の創設に向けての取り組みも開始しています。
●政府交渉・中央行動
主に春と秋の2回、日本医労連の制度・政策要求を掲げて、厚生労働省をはじめ、文部科学省、総務省、人事院、財務省などと交渉・要請を行っています。また検査・給食問題や福祉関連施設の問題などについても定期的に交渉を行っています。
また同時に日比谷野外音楽堂や霞ヶ関周辺での大集会、銀座パレード、国会要請行動など、たくさんの医療・福祉労働者が集まって、社会的にアピールを行っています。
●アクトインサマー(全国アクト)
青年協議会の取り組みで、2年に1度、全国各地を周りながら、1000名規模の青年が集まる集会を行っています。いろいろな病院や施設で働く同じ世代と出会い、話し、遊び、友だちを作ることのできる楽しい集会です。2007年8月に、九州・福岡で「第14回アクトインサマー」を開催する予定です。
また全国アクトのない年には、8つの各地方協毎にブロックアクトや、全国組合の青年集会なども行われています。
●平和を守る取り組み
国民の命と健康を守る医療・福祉労働者として、平和運動にも力を入れています。毎年、「平和ツアー」を企画し、沖縄や日本各地の戦跡・基地をめぐったり、海外へ南京平和ツアー(06年6月)も行いました。
また毎年夏に行われる原水爆禁止世界大会や秋〜冬に開催される日本平和大会、3月のビキニデー、5月から始まる国民平和大行進などに、全国から多数の組合員が参加しています。これらの集会に連動して、産別交流会などを開催しています。
現在は、憲法9条を守るために、総理大臣に向けた職場からの「寄せ書き運動」、「憲法守ろう」をアピールする携帯ストラップの普及などに取り組んでいます。
●医療研究全国集会
06年6月、山形・天童市で「第33回医療研究集会」が1000名を越える参加者で開催されました。毎年6月、全国から1000名規模で、医療従事者や研究者、地域住民などを集めて、看護、介護、給食、検査などの職種別や、地域医療、救急、後継者育成、医療政策など、テーマ別に分かれて、研究発表や情報交換、講演会などを企画しています。主催は、財団法人「日本医療労働会館」と日本医労連との共同による、実行委員会です。次回、第34回医療研究集会は、2007年6月15〜17日に、岡山県倉敷市で開催されます。
職場と地域から、医療・福祉労働者と患者・利用者、家族、地域で働きがいのある職場、いのちと健康、人間の尊厳が大切にされる地域づくりの運動をめざしています。
詳細はこちら → http://nhj.or.jp/html/frame/frame_iryouken.html
また各県や各職場毎でも、医療研究集会が開催されています。 |