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加盟組合の取り組み
地域へ足を、組織の強化を−地域医療守るたたかいへ 愛媛
 吉田病院の闘争は05年の春、それまで在籍していた4名の内科医が次々と退職し、研修医制度の変更と重なり大学からの派遣が難しく内科医の確保ができず、病院運営が難しくなったことに発端があった。前町長時代の病院長人事が大学の医局の意向と異なった事なども指摘されている。
 旧吉田町(現在は合併し宇和島市吉田町)は、本庁と病院内一部は自治労、病院内の4分の3は自治労連に組織されていた。自治労連には8つの病院があり、医療評議会として愛媛県医労連にオブ加盟し、県医労連の執行委員も選出していた。それまでの闘いとして、国立南愛媛病院の闘いと「住民の会」の経験がこの地域にあった。

アンケートで地域に

 医師確保、病院再生の闘いの為には、吉田病院が吉田町の町民にどのように認識されているかが、ポイントになることを県医労連執行委員会で確認。単組も議論を積み重ね、アンケートに取組む事とした。当然、自分達の仕事が地域住民からどう評価されるか不安で、なかなか決意するまでには時間がかかったが、約4000枚のアンケートを全戸配布し1400枚を集約した。分析した結果、町民からの評価が高い事が確認され、職員・組合員が自信を持って地域へ出ることができるようになった。
 また、吉田病院と地域医療を守る闘いは、県医労連だけでは難しいと判断し、愛媛労連として取組む事を提案し、05年1月に愛媛労連の対策会議をつくり、愛媛労連議長を本部長とし、事務局長を県医労連が担当し、自治労連県本部、近隣の病院執行部も構成員に入っていただき、月に1度の頻度で続けている。
 県医労連は、当該単組からの要請に応えるため、病院再生の「再建プラン草案」づくりに協力。どうすれば、内科医に選んでもらえる病院になるか、住民の医療要求がどこにあるか、開業医の分布や住民構成などを把握する努力を行いつつ、拠点病院の宇和島病院との連携や役割分担など、自治体3病院(吉田、宇和島、津島)の第2次医療圏域での役割も検討している。

お母さんたちも

 06年7月合併前にも産婦人科医の退職に伴い、出産ができなくなるため、産婦人科継続の運動が急速に広がり、お母さん達が中心になり短期間に約3000筆の署名を集め、吉田町長、宇和島市長、西予市長への要請を行った。吉田町議会では、「吉田病院継続」の意見書が決議された。また約7800筆の吉田病院の継続署名(発起人は区長)も採択された。05年5月には、「吉田病院の存続が危ない」と地域住民と労働組合で「吉田病院を存続・充実させる会」を結成、8月には3人の市長候補を招いて「吉田病院説明会」を開催、300人を超える旧町民が集まる中で、吉田病院の機能を残す事が「公約」として確認された。
 「会」も「対策会議」も医師確保の運動を強化してきた。特に、職員として医師の紹介運動も行うと供に、過去の決算から、内科医師さえ揃えば収支は殆ど赤字にならない事を地元の市会議員に資料として提出し、懇談を積み重ねてきた。

再就職先を斡旋

 06年2月の給与構造問題での団体交渉時に、市は吉田病院の1病棟の休止と、関連する16名の臨時・嘱託職員(看護助手、看護師)3月末での雇い止め・解雇を行うことを通告してきた。これは12月議会の答弁とは異なったものであり、当該支部(組合合併後、吉田病院労組は宇和島市職吉田支部)と宇和島市職、自治労連県本部、県医労連、愛媛労連が共に闘う解雇・雇い止め撤回闘争となった。日本医労連、自治労連、地域労連からも一斉に抗議・要請フアックスが集中された。宇和島市は臨時・嘱託職員を交渉に入らせない不当な態度をとったが、交渉後に当該職員からの訴えの時間を確保させ、一人一人が心情と、仕事に対する気持ちを訴え、市にも回答させ、実質的な団体交渉とした。
 2月末に人事課は「雇い止め予告通知」を本人達に渡そうとしたが、労組側は事前に意思統一、受け取らないこととした。しかし、市当局は後日、自宅へ郵送してきた。愛媛労連として「内科医師の配置と雇い止め・解雇の撤回、再就職先斡旋等」の要請を行なった3月7日、斡旋の可能性があると判断、その日のうちに16名中15名と面談・希望調査を当該単組と県医労連で一気に行い、15名の職員の希望勤務先、交通手段、資格の有無などを確認した。
 少し光が 3月9日の宇和島市職との団体交渉時に「雇用責任を認め、再就職先を斡旋することを確認すると供に、病棟再会時には呼び戻す事」を確認、急いで全員の希望職場を組合と担当課長とで斡旋作業を行った。
 さらに、3月下旬には06年度の吉田病院体制をどうするのかという説明会を、当局の予想(100名程度)を大きく上回る520名の参加で開催し、再度吉田病院の機能の確保や医師確保について、市長から「努力と確約」の発言があった。
 労働組合、住民の会共々、すべての要求書、要望書には「内科医師の確保」が毎回盛り込まれ、医師確保は宇和島市の責任である事を明確にし、医師確保ができれば地域医療の前進ができることを訴える中で、2名の内科医師確保が進んでいる。現在、病院長が3月末に退職し、半年間の代行(院長代行も開業予定)を立てているが、後任の院長確保が焦点となっている。

オルグを強化

 当該支部(元単組)は、毎週の執行委員会を重視し昼休みの短時間ではあるが、開催を続けているだけではなく、毎月の職場集会(非組も含み全職員対象)、合併後の宇和島市の執行委員会、四役会議、愛媛労連の対策会議にも役員を派遣し、住民の会の毎月の幹事会にも職員代表として数名が参加する。住民の会の会報も全戸配布を目標としてこれまで5回配布している。こうした地道な積み重ねと、非組合員や他の組合所属の職員にも協力を要請し、運動を積み重ねている。県医労連としても団体交渉や懇談など全ての重要な会議等についても参加し指導・援助を行っている。
(愛媛県医労連書記長・高橋徹)「医療労働者1434号」より

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