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秋田県厚生連労働組合で、「第2回病院給食の大切さを考える学習会」を開催

燕下食の専門、藤岡眞医師が講演

人間の尊厳につながる病院給食

 全厚労・秋田県厚生連労働組合は3月24日、秋田市内で、「第2回病院給食の大切さを考える学習会」を行いました。講師は、嚥下食専門の医師、藤岡眞先生。当日は、病院給食スタッフはもとより、看護師・リハビリスタッフ・薬剤師など約70人が参加、大変有意義な学習会となりました。

余命3ヶ月の患者さんの命励ますスープ
 藤岡先生は、今は美卿町(旧六郷)の高橋医院の院長(兼理事長)ですが、前任地の中通リハビリテーション病院で「摂食嚥下委員会」を立ち上げました。人間の尊厳を第一に考え、患者さんの「鼻クダ」を抜くことを推奨したことで有名な「嚥下食の専門医」。
 当日、先生は、ご自身が「嚥下食」と出会った経緯からお話を始められました。人間の一生は「食べる・飲み込む」ところから自立が始まり、最期はベッドの上でも「何かおいしいものを食べる」ことで生きている喜びを感じ取ります。高知の近森病院の医師が「余命3ヶ月の患者に何ができるか」で悩んだことをきっかけに、料理家・辰巳芳子氏の力を借りながら、同院の給食スタッフが試行錯誤の末「命はげますスープ」を創りあげていく姿がNHKのプレミアム10紹介されました。先生は、このテレビ番組を例に、「食べることは、人間の尊厳を保つ行為」であると強調されました。

各職種で病院給食の大切さを共有
 先生は、患者さんと向き合うとき、「どうすれば口から食べることができるか」を最初に考えます。内視鏡や透視装置などをつかって、どこに嚥下障害の原因があるかを徹底的に究明します。そして、一人一人の患者さんごとに解決の方法を導き出します。
その過程を、看護・リハビリはもちろん、実際に料理をつくる院内の調理スタッフや家族にも見せ、基準をつくり、サポートの意義を共有します。 
 先生は「食事をつくる人は、食べた人の喜びを聞くことが最大のよろこびだと思う」と述べました。参加者は、「医療の目的はひとつ、患者さんは一人の人間、各職種の仕事はつながっている」ことを感じ取りました。

委託で嚥下障害の対応はできない
 講演では、嚥下障害の患者さんが食べ物を飲み込むシーンがビデオで紹介されました。立位では飲み込めない患者さんも、体位を変えることで食べ物がすんなり咽喉を通る様子などが映し出されました。また、水だと気管に流れ込んでしまうものが、「トロミ食」だと「食塊」となって食道に運ばれるメカニズムもはっきり判りました。
ビデオを見た給食部門のスタッフのひとりは「いままで患者さんのことを深く考えながらトロトロ食を作ったことがありませんでしたが、これからは、もっと患者さんの状態に応じたトロトロ食を考えなければならないと思いました」と感想。
 最後に、先生は、「食事は生活の基本です。それを医療から外すことは理解ができない。外注・委託では嚥下障害の対応はできない」と明言。また、診療科を問わず、医師は「食べる」ということに情熱を傾けてほしいと強調。嚥下食を通して、病院給食の大切さを訴えられました。(『秋厚労ニュース』844号より。記事の一部は割愛)


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