厚労省「5局長通知」を徹底し、実効ある具体策を実現しよう!
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「基調報告」を熱心に聴く参加者のみなさん。パワーポイントを駆使した報告は、「わかりやすい」と好評でした。 |
日本医労連は9月5〜6日、新潟県越後湯沢で「12年・看護要求実現全国交流集会」を開催、全国の加盟労組・支部の看護師や労組役員など212名が参加しました。
『ニッパチ闘争』発祥の地
主催者挨拶で日本医労連の山田眞己子委員長は「今日の会議は47年前に、夜勤は『複数(2人以上)月8日以内』を国に認めさせた『ニッパチ(2・8)闘争』発祥の地で開かれています」と紹介しました。そのうえで「現代で言えば、この間の夜勤改善、増員闘争のなかで厚労省『5局長通知』を出させたことは確信にできること」と強調しました。『5局長通知』の内容を関係当局や施設経営者等に周知徹底を図り、夜勤改善・大幅増員に向けて「実効ある具体策を求めて行きましょう」とよびかけました。
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2日目は、午前半日かけての分散会討論。各地の職場状況や夜勤改善の取り組みが交流されました。 |
東京法律事務所の笹山尚人弁護士が「職場に法律をいかそう―看護をまもる法律の活用」と題して講演しました。続いて『爪ケア裁判』で逆転無罪を勝ち取った北九州市八幡東病院元看護課長の上田里美さんが特別報告を行ないました。
集会への基調報告を中野千香子・日本医労連書記長が行ないました。
2日目は6分散会、1分科会に分れて夜勤改善・大幅増員の取組みを交流しました。
講演
職場に法律をいかそう
東京法律事務所/笹山尚人 弁護士
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安心して働くうえで大切な労働法について具体的事例をもとに、分かりやすく話して戴きました。 |
はじめに笹山先生は、道路交通法を例に挙げ、こうした法律は社会一般では大方守られているのに、労働関係法規というと医療現場では守られていない例が多いと、切り出しました。だから「職場に法律をいかそう」というテーマになるのだろうとして、ある医療職労働組合からの相談例を参考に話しを進めました。
上司から「新人看護師は半年間は見習いだから超過勤務手当はない。自己研鑽のために早く出勤して遅く帰るのが当たり前」と言われた―。(この上司の話し、みなさんはどう思いますか…。 先生は「労働法規が職場で活きないと何をもたらすか」と問題提起して、あるコンビニ店での超勤未払い事件やY銀行でのバワハラによる解雇事件へと話しを進めました。
…何をもたらすか―答えは、結論的には「労働者の生活を脅かす」だけではなく、労働者の「人間性・人格・命」をも奪うことにつながることです。
最後に、法律には無い有利な労働条件を設定することが労働組合の役割だと述べました。
「爪ケア裁判」を闘って
八幡東病院元看護課長/上田里美さん
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患者さんのために行った爪ケア。爪が「剥離した」として犯罪者扱いに…。 |
爪ケアは重要な看護ケアです。しかし、それが一転して上田里美さんは虐待看護師のレッテルを貼られ〃犯罪者〃に仕立て上げられました。経過は07年6月、北九州市八幡東病院は「高齢者の認知症患者の足の爪を剥離させる虐待があった」と突然記者会見。上田さんは傷害容疑で逮捕され、事件は法廷の場に移り09年3月、福岡地裁は懲役6ヵ月、執行猶予3年の有罪判決を下しました。
変形した爪や皮膚から浮いた爪は、シーツや器具にひっかかる危険があり、上田さんは日常の必要なケアとして爪切りを行なっており、患者からも喜ばれていました。
福岡県医労連は事件を重視し、裁判傍聴等の支援活動を展開。看護協会は「判決は臨床現場を委縮させる」と談話を発表。弁護団は「浮いた爪の切除は必要なケア。判決は看護の発展を阻害」と控訴し10年9月、逆転無罪を勝ち取りました。
報告を聴いて「どこでも起こりうること」との感想が寄せられました。
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