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見解・談話等
【声明】医療の公共性と国民皆保険制度を破壊する混合診療解禁に断固反対する
− いつでも、どこでも、誰でも、安心して受けられる医療体制の充実を −
                            2004年10月13日
                            日本医療労働組合連合会

 政府の経済財政諮問会議は10月5日の会合で、混合診療の解禁問題に関して、「解禁の方向で年内に結論を得る」とし、規制改革・民間開放推進会議は12日、一定の医療水準以上の病院については、病院側の判断で「混合診療」を解禁する方針を確認、医療現場や患者のニーズが極めて高い分野の「混合診療」については、「直ちに解禁する」ように求めた。さらに、小泉首相は所信表明演説で「混合診療」を解禁する考えを改めて強調した。

 混合診療とは、公的保険のきく診療と保険外のきかない診療を併用して行ない、保険外診療の費用は患者の自己負担とするもので、現在の日本の医療制度では認められていない。混合診療を認める目的は、保険診療分を減少させ、自己負担分を増加、公的保険で行なうべき医療を自由診療に移し変えて、保険診療を縮小し、医療費の公的負担を削減することである。さらに、増加した自由診療部分である高度先進医療や保険外医療を営利化のための市場としてとらえ、規制緩和のもとに株式会社の参入などを推進しようとするものである。

 混合診療が導入されたら保険外診療が増え、それが自己負担となるため「お金のない人は医療が受けられない」、まさに「金の切れ目がいのちの切れ目」という事態が生じる。さらに、自由診療部分には民間の保険会社が進出し、公的保険診療だけを受ける人と民間保険で自由診療を受ける人とでの二極化が進む。現行の「国民だれもが、一定の負担で、いつでもどこでも安心して必要な医療を受けられる」という国民皆保険制度の解体につながり、医療の公共性も失われることになりかねない。

 市場原理・競争原理を導入して営利化を認めることにより、利潤追求を目的とする企業が病院経営に参入したら、収益性の高い医療、あるいは所得水準の高い地域しか医療を行なわないのは容易に推測できる。さらに、コスト削減のための、人減らし「合理化」がねらわれ、ベテラン看護師のリストラや無資格者の導入などが予測され、医療事故など医療の安全性が低下しかねない。

 医療・社会保障を充実させ、憲法に保障された国民の生存権を守ること、安全な医療を提供することは国の責務である。国の責任を放棄し、財界の求めに応じて「混合診療を解禁」することは絶対に許されない。すでに、多くの医療関係団体が反対を表明しており、日本医師会は、「混合診療の解禁」を阻止し国民皆保険をまもる国民的運動を呼びかけている。

 日本医労連は多くの医療・福祉関係団体、患者・国民とともに「混合診療の解禁」阻止のために全力をあげることを表明する。そして、「いつでも、どこでも、だれでも」安心・安全の医療が受けられる体制の実現に向けて多くの団体、国民と共に奮闘するものである。

                                   以   上

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