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見解・談話等
【談話】2005年人事院勧告について
                            日本医療労働組合連合会
                            書 記 長  西川 活夫


1、人事院は、本日国会と内閣に対し、2005年度の国家公務員一般職の給与改定についての勧告・報告を行ないました。その内容は、第一に「0.36%1,389円の官民較差」に基づき月例給を4月にさかのぼって引き下げる。第二には「配偶者にかかる扶養手当」を500円減額する。第三には「給与構造の見直し」によって、全国的な俸給水準を平均4.8%引き下げ、「地域手当」を新設して、大幅な地域間格差をつける。さらには中高年層の給与ダウンにつながる「俸給カーブのフラット化」や号俸を四分割して「査定昇給」を入れるなどの能力・業績主義強化の給与制度を導入するなどです。

2、月例給の2年ぶりの引き下げは、全労連や連合、日本経団連などの「昨年よりアップ」という05春闘相場からも、最低賃金目安額の4年ぶりの引き上げからも到底納得できるものではなく、労働基本権の代償機構としての人事院の役割を自らかなぐり捨てたものと言えます。ましてや「本俸マイナス」の4月遡及は、「不利益不遡及」の原則を踏みにじり、その違法性・違憲性をめぐって現在裁判で争われているにもかかわらず、人事院がこの様な勧告をしたことに対し、私たちは怒りをもって抗議するものです。

3、また、18%もの地域間格差を持ち込む「地域手当」の導入は、地方で勤務する国家公務員の労働を差別評価するものであり、地域経済に及ぼす影響も多大なものと言えます。ましてやそれらを「同一ライセンス、同一診療報酬」の医療職にまで導入することは、看護職など医療労働者の「地方離れ」と看護師や医師不足に拍車をかける恐れがあり、地方の医療を守る上でも断じて許されません。
さらに、能力・業績主義強化の給与制度の導入は、民間においても「成果主義賃金」として、職場のチームワークを崩し、労働強化やメンタルヘルス不全の労働者を増やすなど、その問題点が大きく指摘されており、公務や医療には全くなじまないものです。

4、日本医労連は、人事院勧告が公務員労働者ばかりでなく、多くの医療労働者にも影響を与えていることを考慮し、公務員給与の改善と改悪に反対する取り組みを重視してきました。全労連や公務労組連の活動と連携して、「給与構造見直しに反対する署名」や人事院・厚労省への中央行動、座り込みにも参加すると共に、日本医労連独自の人事院交渉などにも取り組んできました。また、春闘での賃金引上げや医療職場への成果主義賃金の導入に反対して産別全体でたたかってきました。

5、いま、長引く不況と悪政の下で、公務サービスと医療・社会保障に対する国民の要求はますます強まっています。この国民の要求に応えるためにも公務・公共業務の充実と公務労働者の生活と権利を守ることが求められています。
安全・安心の医療の確立と医療労働者の生活と労働条件改善のためにも日本医労連は、不当な人事院勧告とたたかい、「人事院勧告に準拠」して賃金を決定している医療経営者や民間の医療経営者にこの勧告を導入させないたたかいを展開します。
「構造改革の本丸」とした「郵政民営化」が阻止され、9月11日には総選挙がたたかわれます。社会保障制度の改悪、大増税、憲法改悪に反対し、政治を国民の手に取りもどす条件がかつてなく広がっています。日本医労連は、これらのたたかいで、多くの医療労働者、患者さん、国民と共に国民的な運動として前進するよう、その先頭に立って奮闘する決意を表明するものです。
                       
                                   以   上

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