(1) 捜査機関への通知について「第三次試案」は、「医療事故による死亡の中にも、故意や重大な過失を原因とするものがあり刑事責任を問われるべき事例が含まれることは否定できない。医療機関に対して医療死亡事故の届出を義務付け、届出があった場合には医師法第21条の届出を不要とすることを踏まえ、地方委員会が届出を受けた事例の中にこのような事例を認めた場合については、捜査機関に適時適切に通知を行うこととするが、医療事故の特性にかんがみ、故意や重大な過失のある事例その他悪質な事例に限定する」「診療行為そのものがリスクを内在するものであること、また、医療事故は個人の過ちのみではなくシステムエラーに起因するものが多いこと等を踏まえると、地方委員会から捜査機関に通知を行う事例は、以下のような悪質な事例に限定される」として、次の3点があげられています。
@ 医療事故が起きた後に診療録等を改ざん、隠蔽するなどの場合
A 過失による医療事故を繰り返しているなどの場合(いわゆるリピーター医師など)
B 故意や重大な過失があった場合(なお、ここでいう「重大な過失」とは、死亡という結果の重大性に着目したものではなく、標準的な医療行為から著しく逸脱した医療であると、地方委員会が認めるものをいう。また、この判断は、あくまで医療の専門家を中心とした地方委員会による医学的な判断であり、法的評価を行うものではない。)