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見解・談話等
【談話】すべての介護労働者の処遇改善で介護崩壊にストップを
 2009年1月8日 日本医療労働組合連合会 書記長 西川活夫

 ー介護報酬改定にかかわる社会保障審議会への諮問・答申についてー

1、厚生労働省の社会保障審議会「介護給付費分科会」は、2008年12月26日、来年度の介護報酬改定を舛添厚生労働大臣に答申し、3%(在宅分1.7%、施設分1.3%)の引き上げとなりました。今回の介護報酬改定の最大の課題は、この間、介護人材確保が深刻で重大な自体に直面し、社会問題となるなかで、介護報酬改定によって、介護従事者を確保することでした。この改定は、昨年の通常国会で「介護従事者の処遇改善に関する法律」が制定され、その具体化として政府・与党が昨年10月30日に「介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策」として3%引き上げを決定したことを反映したものです。2000年に介護保険制度が導入されて以降、これまで2回の改定がいずれもマイナス(合計4.7%)であったことから、今回の改定がプラスに転じたことは、介護の人材確保の改善へつながる施策です。さらに、介護報酬アップに連動して発生する国民の保険料負担の激変緩和措置として、1,200億円の財源を国の負担で充当することも決定されました。この改善は、日本医労連も「介護・福祉労働者の実態調査」で低賃金、劣悪な介護労働実態を社会的に明らかにし、署名・宣伝行動など全国で運動を広げ、改善を求めてきた成果です。

2、今回の介護報酬改定の柱は、1)夜間業務負担を評価、2)介護従事者の専門性等のキャリアを評価、3)人件費の地域差の改善で、これらのひとつ一つは、改善であり評価に値するものですが、しかしながら、すべての施設・事業所で一律の報酬引上げによる全体の底上げ抜きにした加算では、すべての職場のアップが図られる保障にはなりません。介護従事者の確保が、社会問題となったのは、超高齢化社会の到来が言われる一方で、介護の人材難から国民が求める介護サービスが提供されない事態が発生したからです。そのため、すべての介護施設と事業所で、介護従事者の人材確保が可能になるような施策をとることが、国民に対する政府の責任です。
 同時に、具体的な給与等の決定は「労使に委ねるべきもの」、処遇等に関する情報公表は、事業者の「自主的、積極的な取り組み」に「期待される」と言うに止まり、政府は、その実行の責任を回避しています。
 日本医労連は、あらためて政府に対し、全ての介護施設・事業所にはたらく介護労働者を対象にした介護報酬単価の引き上げ求めるものです。2万円以上の賃金引きあげが実現できるよう一律5%以上引上げなどを行い、政府の責任で介護報酬改定の結果が、確実に介護従事者の処遇改善に結びつく仕組みの構築を求めます。

3、介護崩壊を食い止めるためには、介護人材確保とともに、介護サービスの提供体制の整備と、国民負担の負担軽減対策などが、必要です。しかし、今回の改定では、それらの山積する課題は改善されていません。
 国民負担の問題では、政府は今回の「改定による保険料上昇分について当面、2009年度は全額、10年度は半額を国庫が負担する」としていますが、引き続き2009年度〜11年度まで改定による保険料上昇分のすべてを全額国庫負担すべきです。介護療養型医療施設の廃止は、ただちに中止し医療を必要とする要介護者が必要な医療や看護が受けられなくなる事態を回避すべきです。無理な施設からの追い出しが行われれば、医療スタッフの少ない施設や在宅に移らざるを得なくなり、今でも介護崩壊といわれている居宅介護の状況をいっそう悪化させることになります。さらに、2009年4月から要介護認定の全面的見直しでは、あらたな認定制度により、これまでよりも要介護度が低くなる場合がないように対応をはかるべきです。

4、日本医労連は、2005年秋から、医師・看護師・介護職員の大幅増員闘争に取り組んできました。2008年4月には6818名分の「介護・福祉労働者の実態調査」を発表し世論化をはかるとともに、街頭宣伝や署名行動、国や自治体への要請行動、介護労働者の集会等々にも取り組んできました。安全・安心の介護現場をつくるために、深刻な人材不足を解消するための2万円以上の賃金引き上げと、国民の介護保険料・利用料の引き下げ、介護保険制度の抜本的改善をめざして一層奮闘することを表明するものです。

                                以 上
 


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