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見解・談話等
介護保険の見直し議論にあたって国の責任で安心安全の介護保障の確立を求めます
2010年12月7日
日本医療労働組合連合会 中央執行委員会

(1)厚生労働省は、2012年4月の診療報酬と介護報酬の同時改定にむけ、医療・介護の一体改革を行うとし、2010年11月30日には社会保障審議会介護保険部会から「介護保険見直しに関する意見」が公表されました。その内容は、財源確保が優先され、利用者負担増、または給付の縮小を打ち出した内容になっています。これでは、現在の介護問題を解決し、将来の介護保障の具体化をはかることもできなくなります。政府は、日本の医療・介護など社会保障費支出を先進諸国に並みに引き上げることを掲げてきました。私たち日本医労連は、政府に対し社会保障予算の増額を図り、介護保険10年目の抜本見直しを進めるよう要求します。
報告書で重点化策として打ち出された地域包括ケア構想では「できるだけ住み慣れた地域で暮らせるような制度にすべき」としています。わたしたちは構想そのものについて否定するべきものと考えませんが、この構想を実施する上で必要な基盤整備、人材確保などの条件整備がまったく不十分で、すでに指摘され山積している諸問題の解決策も提示されない中では、この構想の実効性が担保されると考えられません。

(2)報告書で出されている問題点に対する日本医労連の考え方は、以下の通りです。

@利用者負担増の点では、一定の所得を理由とした利用料の引き上げ、軽度者の利用料の引き上げ、ケアプラン作成の利用者負担導入、多床室の室料見直し、補足給付要件の引き上げ、40歳未満からの保険料徴収などが提示されていますが、すでに国民、利用者負担は限界を超えており、保険料、利用料負担の軽減こそあれ、増額は行うべきではありません。

A生活援助を介護保険から外し、地域のボランティアに委ねることさえ論議されています。生活援助は利用者の生活を支え、自立支援に役立ち、予防的な役割もある専門性の存在する介護です。介護保険から外すことは、利用者にとって重大な影響を及ぼすことが容易に考えられます。生活援助を保険から外すことは反対です。

B40万人を超える特養など入所待機者を解消するための基盤整備は、地域の実情にみあった施設の増設をはかることが必要です。今回の論議では、宿泊付きデイサービスは、この間、グループホームや小規模多機能施設で火災事件や事故が相次ぎ、その原因に少ない人員体制や施設整備の不十分さが指摘されています。そういったことの改善も行わないまま放置し、特養など入所施設の代用としてデイサービスに宿泊を認める議論は、利用者の安全安心を省みない、あまりにも無責任で安易な考えです。

C介護人材確保の点でも、他産業の平均にも及ばない低賃金水準を改善するため、介護処遇改善交付金の支給も開始されました。その給付範囲は介護施設に働く労働者全体でなく、介護職に限定され、かつ金額も政府公約の4万円賃上げに大きな、かい離があり改善が求められます。しかし、交付金財源は全額国費であり、支給は賃金支給に限定されるこの基本的なシステム自体は継続され、公約どおり4万円賃上げに近づける努力が求められます。報告書では、交付金を介護報酬に含む検討が出されていますが、介護報酬に含まれてしまえば、現在のように必ず賃金引き上げに活用されるという保証もなくなります。
さらに、看護師が不足しているから、との理由で医療行為を介護職に全面的に拡大させる法案が2011年国会に提出される方向です。医療行為が必要な場合には、医療の専門家である看護師など医療労働者を確保するのが国の責任です。

(3)日本医労連は、引き続き、介護保険制度の改善をめざし、@利用者負担軽
減、A認定と介護度区分に関する問題、B施設不足など基盤整備、C介護の人材確保、の4つを柱に要求の実現へむけ、全力をあげて運動します。

以  上




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