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見解・談話等
「特定看護師(仮称)」創設に反対します
2011年4月1日
日本医療労働組合連合会 中央執行委員会

1.「チーム医療推進のため、日本の実情に即した医師と看護師等の協働・連携の在り方等について検討する」ことを目的とした厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」は、特定看護師(仮称:以下省略)の創設を求めた報告書を2010年3月に提出しました。それを後継した「チーム医療推進会議」は2つのワーキンググループで調査・検討をすすめ、医療の受け手である国民への十分な説明もないままに、モデル事業の推進など特定看護師創設に向けての動きを強めています。

2.保助看法に規定される看護師業務は「診療の補助」と「療養上の世話」ですが、前者の範囲は時代と共に変更されてきました。しかし今回の特定看護師の業務として検討される「特定の医行為」は、気管内挿管・抜管、縫合・褥瘡壊死組織のデブリードマン、薬剤の選択など侵襲性の高い行為で、「医師が常に自ら行わなければならないほど高度に危険な行為」とされる「絶対的医行為」です。教育・認定制度を創設しても、「業務分担」の名の下に担う内容ではありません。日本医労連は、看護師の業務を逸脱した「絶対的医行為」の業務委譲である特定看護師の創設に反対します。

3.「療養上の世話」は、対象の治癒力を引き出す一連の行為として看護師の誇りにつながっています。しかし、多様な業務の集中で本来業務である「療養上の世話」が追いやられ、補助者に委譲される傾向が強まり、看護師の仕事の達成感を奪っています。日本医労連「2009年看護職員の労働実態調査」では、半数以上が十分な看護が提供できていないと答え、「人手不足で仕事がきつい」「思うような看護ができず達成感がない」等を理由に、「仕事を辞めたい」は約8割にもなっています。今回の議論により「診療の補助」がさらに拡大するようなことになれば、1割強の離職率をさらに悪化させ、看護師不足に拍車をかける結果となります。

4.専門看護師は612人、認定看護師は7334人(4月1日現在の登録)になりました。他に学会等の認定取得者もおり、看護職場は教育課程や資格の違う職員が混在しています。「21世紀初頭の早い段階を目途に養成制度の統合に努める」とした准看護師制度問題も解決せずに、新たな看護師の資格を創設することは、現場の混乱を招きます。看護制度一本化の実現とともに、専門性を高める生涯教育を全ての看護職員に保障することこそ、いま一番求められていることです。

5.「医師の疲弊緩和」は早急に改善されるべき重要課題です。しかし、16時間以上の長時間夜勤増加や、勤務から次の勤務までの休息時間「12時間未満」の職場が8割など、看護師の劣悪な労働環境の改善も待ったなしです。日本医労連は、医師・看護職員をはじめとした全ての医療・介護従事者の大幅増員で、それぞれの専門職がその専門性を高めながら、チームとして力を発揮し、安全・安心の医療・介護を提供することが重要だと考えます。そのために、働き続けられる賃金・労働条件改善、社会保障の拡充を求めて奮闘します。                     以上
                                                                          以 上

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